プラットフォーム戦争: エンドツーエンドのポートフォリオ管理とポイントシステムの対決
2019/08/23
Abstract
ウェルスマネジメント向けエンドーツー型プラットフォームを手がけるベンダーは、長年にわたりスケールとインテグレーションの両面で優位に立ってきた。しかし、デジタル化とアーキテクチャのフットプリント小型化が進む今、その地位は脅かされつつある。これらベンダーは全国規模で事業展開するブローカー/ ディーラー顧客を維持するためのサービスを続ける必要があり、陳腐化したテクノロジーがアキレス腱となっている。こうした取引先はベンダーにとって戦略的価値の高い存在であり、取引先もそれを認識しているため、ベンダーは値引きをしてでも彼らを引き留めにかかるだろう。
主要ベンダー間の競争と並行して、中小プレーヤーの間でもビッグリーグ入りを目指す戦いが繰り広げられている。登録投資アドバイザー(RIA)をはじめとする独立系アドバイザーは、その多様な投資哲学に応じて個別のテクノロジーベンダーと関係を構築する傾向があり、いわゆる「ポイントソリューション」を導入する動きが以前から顕著化していた。独立系アドバイザーの市場拡大と、RIAの法人化に伴うプロ化の流れが同時進行するなか、ベンダーはバリューチェーン全体を通じて機能拡充を進めている。Riskalyzeなどのベンダーが総合的な投資運用ソリューションを開発する一方、Orionなどはエンドツーエンド型プラットフォームに近いソリューションへと進化させている。こうした「マルチポイント」ベンダーは、APIによるコネクティビティと柔軟な価格体系を武器にブローカー市場での顧客開拓を図っている。