インドのITサービス企業と金融機関のコアシステム開発
Abstract
金融機関がコアシステムの開発業務をインドのITベンダーにアウトソースすることは、妥当なのだろうか。
インドのITベンダーは、ITアウトソーシングビジネスの先陣を切ってきました。しかしながら、IBM、アクセンチュア、HPなどのグローバルサービスベンダーがインドやその他の低コスト諸国にも進出していることに加え、インド以外の低コスト拠点が新たに出現しているため、インドのITベンダーのコアコンピタンスであるコスト優位性は、現在急速に失われつつあります。
インドのITサービスベンダーは、グローバルサービスの提供プロセスを完成させたことで高い評価を受け、グローバル金融機関のトップ20のうち半数以上にサービスを提供し、世界のオフショア業界の成熟化に向けて主導的な役割を果たしてきました。当初彼らは金融業界の高い専門知識を備えておらず、アウトソーシングされるITサービスの中でも(料金やサービスの内容という点で)主にローエンドのサービスを提供してきました。それにもかかわらず、低コスト、質の高い業務遂行、テクノロジーの専門知識と優れたプロセス主導の手法といった点を競争力として、高い成長を遂げてきました。
しかし、このようなインドのITベンダーの市場優位は脅かされつつあります。グローバルなサービスベンダーがインドや他の低コスト諸国にも事業を拡大していることで、他の企業もコストパフォーマンスの高い選択肢を提供できるようになってきています。これらの脅威に対抗するため、インドのベンダーは5年ほど前からビジネス分野における専門知識の構築に積極的に取り組んでおり、より付加価値の高いサービスを提供し、新規参入プレイヤーと効果的に競争することで、顧客のIT予算の獲得枠の拡大を図っています。
「インドのトップクラスベンダーは、銀行業界、証券市場、保険業界、各分野におけるコアシステムの開発・実装の優れた能力を認められています。これらのベンダーは、コアシステムのある分野内で主要と位置づけられている製品や、大手金融機関数社における導入実績のあるコアシステム製品を保有しています。」と述べるのは、セレントの最新レポート「インドのITサービス企業と金融機関のコアシステム開発」を執筆したサンディープ・へバーです。さらに、これらのベンダーはITコンサルティング業務を開始し、さらに複雑なエンド・ツー・エンドのアウトソーシング契約も獲得し始めています。
レポートでは、インドのサービスベンダーのトップ5社と金融サービス向け製品を主に提供するトップベンダー(Tata Consultancy Services、Infosys Technologies Ltd.、Wipro Technologies、 Satyam Computer Services Ltd.、Hindustan Computers Limited Technologies、i-flex Solutions)を取り上げ、これらのベンダーが金融機関向けコアシステムの構築に必要な専門知識を獲得している分野、BPOサービスを提供している分野について説明しています。
本レポートは25図と9表を含む全46ページで構成されています。