標準化:電子決済の普及を一気に進める特急電車
Abstract
標準と、それが生み出すユーザーの最小限の市場普及率は、あらゆるテクノロジーにおいて普及を一気に加速する特急電車の役割を果たします。B2B取引における標準の開発と普及は、電子決済の発展を促す契機になるでしょう。標準自体がゴールド・ラッシュを生むことはなくても、電子決済プロセスを可能にします。
セレントの最新レポート「標準化:電子決済の普及を一気に進める特急電車」は、決済関連システムの標準策定の状況を明らかにしています。標準化は最終的には全てのステークホルダーに恩恵をもたらしますが、短期的なコストと論争がその過程を長期化します。電子決済の標準策定に向けた道のりも例外ではなく、今はまだその進行過程にあります(図1のISO20022の例を参照)。論議は主に、標準開発の主導権と、既存システムをオープンシステムにリプレースする時点で失われる主導権を巡って発生します。最も恩恵を受ける立場にあるグローバル企業は既に旺盛な需要を見せ始めており、銀行やその他のサードパーティがこれに応じていくものとみられます。「企業は、改良された先進的な取引関連サービスを求めて声を上げ始めています。例えば、95%以上の企業は、決済プロセスの電子化を要するストレート・スルー・プロセッシング(STP)の導入を求めています」とセレント銀行プラクティスのマネジャーで上記レポートを執筆したアレンカ・グリリッシュは述べています。
「今後は、インターネットおよびインターネット・プロトコルによる通信経路に代わって、XMLベースのメッセージ標準が電子決済の普及を加速させる特急電車の役割を担うでしょう。いくつものグローバル企業でEDIシステムの老朽化が現れ始めています。この現象がEDIシステムからXMLベースのシステムへ段階的に移行するきっかけとなり、XMLを選択する大企業が増えています。」とグリリッシュは述べています。
「ISO20022標準はまず欧州で広まり、グローバル銀行や企業が普及の担い手となるでしょう。大手ERPベンダーは次期新製品にISO20022を組み入れており、大企業がシステム更新を行う今後3~5年間での標準の普及を確実なものにするでしょう」とグリリッシュは結論付けています。レポートでは、SWIFT(SCOREを含む)、TWISTおよびThe Clearing Houseの実績と目標について検証しています。さらに、企業のパイオニアであるGeneral Electric (GE)が接続手段をEDIからSWIFTNetに移行した過程についても概要を示しています。
レポートは8図と7表を含む27ページで構成されています。