トランザクション・バンキングの最新動向:グローバル調査の結果から【全訳版】
Abstract
(このレポートは2013年1月31日に"Trends in Transaction banking:A Global Survey "というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2013年2月20日に発行しました。)
金融危機後、トランザクション・バンキングの利益成長率は投資銀行および商業銀行業務を上回る水準で推移しています。セレントの調査によると、この分野での競争力向上を目指して過去3年間に当該部門の組織改革を行った銀行は全体の82%(2012年だけをみると43%)に上っています。
トランザクション・バンキングは銀行にとって成長が見込まれる分野で、取引量は着実に拡大しています。それに伴い、地方銀行や既存のグローバル銀行の間で競争が激化しています。セレントがNTTデータジェトロニクスの支援を受けて行った調査の結果をまとめたレポート「トランザクション・バンキングの最新動向」によると、この分野では各行とも商品およびサービスの開発、手続きの自動化とストレート・スルー・プロセッシング(STP)の強化、ビジネス展開する地域(およびグローバル)のオペレーショナル/テクノロジープラットフォームの構築などを急いでいます。
特にアジアは、国際取引の半分以上が域内の国々の間で行われているだけに、関心が集まっています。域内取引の比重が高い環境は、この地域に営業基盤を持つ地元の銀行にビジネスチャンスをもたらしています。同地域では、グローバル銀行のプレゼンスが十分に確立されていないとみられることから、各行ともトランザクション・バンキングの機能強化に乗り出しています。
「トランザクション・バンキングは競争の厳しい分野で、中小の地方銀行でもキャッシュマネジメント業務に参入しています。新たな顧客のニーズに対応できる銀行は、自国市場で競争上の優位を確保するだけでなく、グローバルプレーヤーにも対抗していけるはずです」と、セレントのアジア地域のシニアバイスプレジデントでレポートを共同執筆したニール・カタコフは述べています。
「世界的な金融危機を受け、企業行動にも変化がみられ、リスクおよび流動性の管理を重視する傾向が強まっています。銀行にとってはビジネスチャンスであり、トランザクション・バンキング・サービスをめぐる競争は激しさを増しています」と、証券グループのシニアバイスプレジデントでレポートの共同執筆者であるアクセル・ピエロンは述べています。
レポートでは各行の商品、顧客および地域戦略、競争力向上を図る組織全体の戦略、新商品のサポートとSTPの強化に必要なIT投資、トランザクション・バンキング部門の注目事項などを取り上げています。
本レポートは24p、19図と1表で構成されています。