クラウドベースの勘定系システム:もはや最先端ではない【抄訳版】
A Flash Insight Report
Abstract
米国に拠点を置くある信用組合が2016年12月にクラウドベースの新たな勘定系システムへの転換を発表したことを機に、クラウドベース勘定系システムは「最先端」から「先端」となりつつあります。本レポートでは、クラウドベースの勘定系システムを現在市場に投入している複数のベンダーを取り上げ、将来システム機能のアップグレードを検討している銀行に及ぼす影響について検証しています。
キャピタルワンが2015年11月にミッションクリティカルなシステムの多くをアマゾン・ウェブ・サービスのパブリッククラウドに移行すると発表したことは、クラウドサービスが主導するバンキングの新たな時代の到来を告げるものでした。その1年後にはChrome FCUがクラウドベースの勘定系システムに移行することを明らかにし、クラウドベースバンキング導入の波が起こりつつあることが確認されました。
勘定系システムをパブリッククラウドに移行することで、①コスト/必要資本の軽減と②新たなデジタルサービスの構築/運営のためのアジリティーの向上―という2つの相反する目標を達成する可能性が生じます。
今後2年以内に、クラウドベースの勘定系システムは市場を席巻し、常に銀行のRFPに盛り込まれる要素となるでしょう。銀行とITサービスプロバイダーは、来るべきクラウドベースバンキング時代に対応できる競争力の強化に備える必要があります。
「規制、セキュリティー上の懸念を理由に、銀行のCIOがクラウドサービスの利用を却下していた時代は終わりを告げました。規模の大小にかかわらず、革新的な銀行は既存のITサービスの一部または全てをクラウドに移行することでアジリティーとコスト競争力を向上させ、先行者利益を確保しようとしています。」
「クラウドサービスを戦略上後回しにしている銀行は、自らのポジションを見直すべきでしょう。でなければ、顧客サービスの向上と業務の効率化の両方を実現できるチャンスを見逃す恐れがあります」とシニア・アナリストのジェームズ・オニールは述べています。