米国証券業界におけるクロスボーター取引のトレンド:新たなパターン
Forging New Patterns
Abstract
金融危機により、海外から米国、および米国から海外への投資の流れは大きく変化してきました。世界経済の回復の遅れからクロスボーター投資の流れもその影響を受け、大半で停滞、もしくは後退すら見られるのが現状です。
金融危機は世界の証券取引の流れに大きな影響を及ぼしました。たとえば米国証券業界における海外との取引を見てみると、危機前の2001年1月から2007年6月の間には純投資額が月平均790億米ドル(約6.2兆円)だったものが、危機後、2007年7月から2012年3月には410億米ドル(約3.2兆円)まで落ち込んでいます。2000年代初期にもドットコム危機がありましたが、まちがいなく今回の金融危機はより大きな影響を及ぼしたといえるでしょう。金融危機後の緩やかな回復により投資フローは改善しつつありますが、ボラティリティは危機以前よりはるかに高くなっています。
セレントの最新レポート「米国証券業界におけるクロスボーター取引のトレンド:新たなパターン」は、米国における投資フローの変化や、株式および債券市場、各地域、世界の主要国市場のそれぞれでどのように異なる様相を見せているかを詳細に分析しました。また、世界の主要市場の投資家はこうした状況にいかに対応しているのか、以前と同じ地域や市場、アセットクラスに投資し続けるのか、といった点についても考察しています。
「米国経済は金融危機から立ち直りを見せており、世界の急成長市場との間で新たな関係を形成しつつあります。アジアや中南米市場の成長を背景に、これらの市場との取引が、対欧州よりも、増加しています」と、セレント証券グループのシニアアナリストで、レポートの執筆者のアンシュマン・ジャスワル, PhDは述べています。
このレポートではまず、2001年1月から2012年3月における、海外から米国市場への投資を地域別(アジア、欧州、南北米、カリブ地域)に分析し、次に、米国から各地域への投資と、それが金融危機後にどう変化したかについて考察し、続いて債券や株式といった金融商品別に詳述しました。そして最後に、米国と世界16の主要市場との関係について述べています。
本レポートは38p、49図と2表から構成されています。
注)ドルから日本円への換算レートは、2012年7月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。