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テンセント傘下のWeBank:支店もオンラインバンキングもない銀行【全訳版】

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2015/04/16

Abstract

(このレポートは2015年4月16日に"Tencent’s WeBank: Can a Bank Connect Everything Without Branch or Internet Banking?" というタイトルで英文で発表されましたが、全訳版を2015年6月10日に発行しました。)
*レポート(日本語)=全訳版PDF、(英語)=原文レポートPDF

WeBankには支店がなく、オンラインバンキングのチャネルもありません。同行の資本金はわずか5億ドルとされており、他の商業銀行を大きく下回っています。WeBankは銀行業界にどのような衝撃をもたらすのでしょうか。同行の成否は、シナリオに基づく金融サービスが機能するかどうかにかかっているといえるでしょう。

KEY RESEARCH QUESTIONS
1 WeBankの成功へのシナリオは?

2

WeBankはなぜ支持されているのか?
3

WeBankの強みとは何か?

中国ではここ10年間でリテールバンキングの事業環境が大きく変化しました。具体的には、eコマースやオンライン・ツー・オフライン(O2O)などのサービスが広く浸透しました。 消費者はグルメ、マッサージ、マニキュアといったサービスを自宅に居ながらにして楽しめるようになっています。銀行はデジタルチャネルではなく、個人顧客にとってより身近な存在であるソーシャルチャネルになることを目指しています。

WeBankは「シナリオに基づくサービス」と「ビッグデータ」という2つのビジネスモデルを打ち出し、バンキングサービスはエンターテインメント、オンライン教育、ヘルスケア、トラベルといった他のサービスの中に組み入れられています。WeBankにはオンラインバンキングの機能も支店もありません。

WeBankのビッグデータシステムであるTDBANKには、40兆に上る個人顧客に関する記録が保管されています。その中にはオンライン上の活動、バーチャル資産、支払い行動、購買行動、ソーシャルネットワークの情報、公表されている与信情報、チャットの内容、友達などのデータも含まれています。WeBankはこうしたデータを利用することで、バーチャル・モーゲージといった新たなバンキングサービスを提供しています。
本レポートは WeBankの概要を明らかにし、リテールバンキングのトレンドや同行のビジネスモデル、ビッグデータシステム、エコシステム、強みについても検証しています。

「WeBankは、『あらゆるものをつなげる』というテンセントグループ全体の戦略の一環として生まれました。この戦略の背景には、中国のインターネット環境の変化があります」とセレントのアジア金融サービスグループのアナリストでレポートを執筆したフア・ジャンは述べています。