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外国為替現物取引市場の概要

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2005/02/23

Abstract


現在、外国為替のディーラー間取引の60%、対顧客取引の43%が電子取引プラットフォームを通じて実行されていると見られます。セレントは、2007年までにディーラー間取引の90%、対顧客取引の70%を電子取引が占めると予測しています。

世界の外国為替市場はすでに巨大であり、今なお着実に拡大を続けています。世界決済銀行(BIS)の最近の調査によると、世界の外為取引高は1日当たり約2兆米ドル(約207兆円)に達しています。外為市場は、実際には細分化された様々な市場の集合体です。たとえば、現物取引とデリバティブ取引、ディーラー間取引と対法人・個人顧客取引、 米国・ロンドン・アジアといった地域別市場、電子取引と電話取引などから構成されています。セレントの最新レポート「外国為替現物取引市場の概要」は、外為現物市場におけるディーラー間および対法人顧客のスポット、フォワード、スワップ取引に焦点を当てています。

レポートでは、ディーラー間および対顧客取引市場の特徴やCLS決済(Continuous Linked Settlement = 国際連続同時決済)などの業界規模のプロジェクトについて取り上げています。外為取引市場はグローバル市場ですが、主要市場にはそれぞれの地域差もあり、その一部をレポートで明らかにしています。また、取引電子化にあたっての障害や将来の市場トレンドについても論じています。セレントではこれと並行して、ディーラー間取引や対顧客取引市場における電子取引プラットフォームの動向をまとめたもう一つのレポート「外国為替現物取引市場における電子取引ベンダーの動向」も発行しています。このレポートでは、EBS、Reuters、FXConnect、FXAll、Currenex、HotSpot FXi、360T、eSpeed、Lava FXといったプラットフォームを取り上げています。

セレントは、2007年までにディーラー間取引に占める電子取引の割合は90%、対顧客取引では70%に達すると予測しています。ディーラー間の電子取引プラットフォームは長い年月をかけてその規模を拡大させ、流動性も向上しており、ボリュームでは最大であるこのディーラー間取引を現在電話で処理している銀行からも、今後は引き合いが増えることが予想されます。銀行が電話取引を続ける背景には、電子取引では処理できない単位未満や確定日渡し取引を行なう可能性がある、匿名による取引を行ないたい、などの理由があります。大手の電子取引プラットフォームは、ブローカーからディーラー間取引市場のシェアを奪うため、こうした取引に対応する機能を追加していくと考えられます。

一方、対顧客取引市場では、次の3つの要因が電子取引の普及に貢献するでしょう。①FIX(Financial Information eXchange)に代表される標準プロトコルの普及やCSL決済といった業界規模のプロジェクトにより、電話取引を行なう法人顧客にとって1つまたは複数の電子取引プラットフォームへの接続が簡単にできるようになる、②プラットフォームが提供する取引前後のサポートサービスの内容が向上し、新たな顧客を呼び込む、③最も頻繁に電子取引を行なうヘッジファンドや商品取引投資顧問(CTA)が法人顧客基盤の急成長部門となる。

セレント証券グループのシニアアナリストでレポートを執筆したジョディ・バーンズは次のように述べています。「法人顧客の50%近くは今のところ電子取引に関心を示していませんが、いつまでもこうした態度を続けるわけにはいかないでしょう。確かに、複雑なデリバティブや標準化されていない金利デリバティブなど一部の金融商品においては電子取引が実現する段階ではありませんが、外為取引はこれに当たらないからです。」

このレポートは14の図を含む全26ページから構成されています。

注)米ドルから日本円への換算レートは、2005年1月31日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。