ETFの成長と課題
Abstract
上場取引型金融商品(Exchange Traded Products)の市場は、ここ10年間で飛躍的に拡大しました。運用資産残高は2002年の1,460億ドルから2011年には1兆5,000億ドルとなり、10倍以上も増えています。ファンドの数が急増し、常に新しいファンドが投入されています。しかし、今後もこうした成長が続くかどうかは不透明です。
セレントの最新レポート「ETFの成長と課題」は、世界の上場取引型金融商品(ETP)市場の発展について論じています。ETPの急速な拡大は、競合する業界や規制当局からも大きな注目を集めています。ETPをめぐっては、ミューチュアル・ファンドの需要を奪うかたちで成長しているのか、あるいは新たな市場の開拓により他に流れていた可能性のある投資を呼び込んでいるのかという議論が展開されています。ETP市場では、現物ETPと合成ETP(デリバティブを採用)の運用者の間で主導権をめぐる激しい競争が繰り広げられてきました。
「ETP市場の競争は激しさを増しており、ニッチ商品の開発が活発化しています。今後数ヵ月間はアクティブ型ETFの投入が相次ぐとみられることから、この分野の動向に注目が集まるでしょう」と、セレントのシニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。
レポートの第1章では、世界のETP運用資産残高の内訳と新規資産の拡大状況を明らかにし、市場の概要を説明し、第2章では、パッシブ型のミューチュアル・ファンドと比較し、ETFに投資することのメリットを挙げています。同章の最後ではETF業界の進化に焦点を当て、新たに投入されたファンドの成功率を紹介しています。
また、アクティブ型ETFについて取り上げ、こうしたファンドの現在の状況と将来の成長見通しを分析しています。また、現物ETFと合成ETFの主要市場や合成ETFの成長についても論じています。次にETF市場のリテール分野に焦点を当て、これまで機関投資家向けが中心だったETFが個人にとっても魅力的であることを説明しています。最後に、米国、欧州、アジアといった市場の規制環境を踏まえ、今後数年間のETF市場の成長軌道を予測しています。