バーゼルⅡ後の展望:2008年 財務/信用リスク管理ソリューションベンダー評価
Abstract
バーゼルⅡ導入の先行組となる金融機関は導入期限を守ることに懸命で、リスク/リターンの管理強化、価格決定力の向上、より高度なリスク管理といった付加的メリットはほとんどが棚上げされたままの状態です。各金融機関は規制遵守という最低限の目標を超えて、リスク管理プロジェクトから体系的な価値を創出していくべきでしょう。
バーゼルⅡの先行導入を目指す金融機関は過去5年間にわたり準備を進めてきました。こうした動きは欧州では大きく前進しており、アジア太平洋地域やその他の地域にもばらつきはあるものの広がっています。金融機関はバーゼルⅡ(新BIS規制)に関連した資源集約的な大規模プロジェクトをここ数年で立ち上げ、平均5,000万~1億ドル(預かり資産の0.03~0.07%、約50億5千万円~約101億円)の資金を投入しています。第一陣となる金融機関は今年の導入期限を前に順調に進んできていますが、多くの金融機関は規制上の要件を満たすことに終始している状況です。
セレントの最新レポート「バーゼルⅡ後の展望:2008年 財務/信用リスク管理ソリューションベンダー評価」は、リスク管理ソリューション市場の現状を明らかにした上で、ベンダー10社の製品を評価し、金融機関が規制遵守という最低限の目標達成からもう一歩踏み込むためのサポートを提供する革新的なベンダーを紹介しています。
「アジア、東欧、中東、さらには米国の金融機関が積極的にプロジェクトを立ち上げており、先行組のプロジェクトから得られた経験が今後教訓として活かされるでしょう。リスクプロジェクトで成果を挙げるためのIT上の課題としては、データの質、システム統合、リスク管理システムの順応性などが挙げられます。テクノロジーに配慮の上、最適なソリューションを採用することが成功のカギといえるでしょう」と、セレントのシニアアナリストでレポートを執筆したキュビラス・ディンは述べています。
本レポートはリスク管理の市場トレンドに加え、資金計画や財務分析といった幅広いプラクティスを取り上げました。また、財務および信用リスクの管理方法やバーゼルⅡ関連プロジェクトの導入から得られた教訓を検証しています。本レポートは、リスクプロジェクトの計画、リスク管理ソリューションの導入など、バーゼルⅡ準拠の業務体制への移行を目指す金融機関にとっての指針を示しています。
レポートは21図と20表を含む全75ページで構成されています。
レポートで取り上げたベンダーはAlgorithmics、Fermat、Financial Architects、IRIS、Oracle/Reveleus、Misys Almonde、QRM、SAP、SASおよびSunGardです。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2008年3月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。