取引所システムサービス:新たな課題
Abstract
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 取引所システムをめぐる最新トレンドは? |
2 |
主要ベンダーはこうしたトレンドにどのように対応しているか? |
3 | ベンダーの認知度はどのようになっているか? |
ここ10年は非常に厳しい経済環境が続いており、世界中のあらゆる地域で全ての資産クラスの売買高が低下傾向にあります。規制強化に加え、証拠金や担保要件が厳しくなったことも市場にマイナス影響を及ぼしています。こうした状況の中、グローバル展開している主要取引所は規制関連コストとリスクおよび担保管理コストの負担増に耐えつつ、テクノロジープラットフォームの改善に向けた多額の投資も強いられ、そのバランス配分に苦心しています。
グローバルな取引所にシステムを提供するテクノロジーベンダーは毎年、数少ない大口顧客の獲得競争を余儀なくされ、市場の不透明感につながっています。多額のIT予算を持ち、外部のベンダーの採用に積極的な大・中規模の取引所は少数に限られるため、競争が激しくなり、中小ベンダーは生き残りに苦戦しています。
取引所と取引後処理を手掛ける業者は、規制改正や市場の変化に伴いテクノロジーのアップグレードを進め、レガシーシステムを入れ替えることで最新機能の構築を目指してきました。優れたテクノロジー機能を備えた最大手のプレーヤーは、規制要件の変化への迅速に対応するための、リソースおよびテクノロジー機能を持たない顧客にソリューションを提供しています。
「ブロックチェーン・テクノロジーはディスラプションにつながる可能性を秘めており、問題はいつディスラプションが起こるか、です。取引所とこの分野を手掛けるテクノロジーベンダーにとっては、来る変化に備えることが重要になるでしょう」とセレント証券プラクティスのリサーチ・ディレクターで執筆者のブラッド・ベイリーは述べています。
「企業は関連する業界の規制改正やイノベーションへの対応を迫られ、しかもその作業を迅速かつ低コストで行う必要があります。 取引所はこれまで多額の資金を投入して低レイテンシー・テクノロジーを取得してきましたが、規制に関するテクノロジー要件への対応を重視するスタンスに移行しています」とシニア・アナリストのアンシュマン・ジャスワルは述べています。