北米銀行のIT投資動向
Abstract
セレントでは、北米の銀行による新システムへの投資は拡大する傾向にあり、2005年のIT投資額は443億ドル(約4兆5,900億円)に達すると予想しています。
新規または進行中のITプロジェクトを遂行する上で、IT予算は重要かつ決定的な要因です。IT投資は単に既存システムの運用・保守にとどまるものではなく、今日の戦略的IT投資は将来の差別化要因につながるとものです。数量化したROIをもとにIT投資の目標を設定することで、金融機関は効果的な戦略を見出すことに成功するでしょう。
セレントの最新レポート「北米銀行のIT投資動向」は、米国とカナダの銀行によるIT投資のトレンドを詳しく分析しています。セレントは、北米銀行のIT投資は緩やかなペースで拡大を続けると見ており、2005年の投資総額は前年比3.9%増の443億ドル(約4兆5,900億円)に達すると予想しています。
このうち、北米IT投資の大半を占める米銀の投資額は前年比4%増の385億ドル(約3兆9,900億円)となる見通しです。一方、カナダの銀行の投資額は3.2%増の58億ドル(約6,000億円)と予想されています。
北米銀行は新システムへの戦略的投資を進めており、セキュリティ対策、決済、マルチチャネル統合、ブランチオートメーションなどが、今年の主な投資分野として注目を集めるでしょう。新システムへの投資総額は、米国・カナダの銀行で計82億ドル(約8,500億円:前年比14.3%増)に達する見込みの一方、運用・保守費は361億ドル(約3兆7,400億円:1.8%増)となる見通しです。各行とも、運用・保守に投入していた資金を新システムに振り向ける意向であり、今後数年間は運用・保守費は現状維持レベルを保つでしょう。このような運用・保守から新システムへの投資シフトを成功させた銀行が、勝者として生き残るでしょう。
「今日、銀行にとって、ビジネスゴールの実現に結びつくようなテクノロジーの活用が、最も基本的かつ重要な成功要因の一つであり、ビジネスとテクノロジーの諸要素が融合する中で、銀行の経営トップは、市場の需要を取り入れてそれに対応し、高い競争力を維持できるような分野を見定めていくでしょう」と、セレントバンキングプラクティスのシニアアナリストで今回のレポートを執筆したジェイコブ・イエーガーは述べています。
このレポートは26の図を含む全38ページで構成されています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2005年1月31日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。