2015年 リスク管理の展望:家内工業からグローバル24時間態勢へ
Abstract
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | リスク管理業務およびシステムに対する金融機関のニーズや期待は何か? |
2 | 今年、金融機関が取り組むべきリスク管理に関する戦略的課題は何か? |
3 | 金融機関やサービスプロバイダーが成功を収める上でのカギは何か? |
金融業界では、リスク管理のシステムおよびオペレーションをインダストリアライズ(工場での生産のように画一的に大規模に対応する)する動きが活発化しています。そうした状況の中、金融機関は規制変更に戦術的な面で対処するだけでなく、成長を実現するための戦略的な基盤の確立に向けた現行の取り組みを維持すべきでしょう。
先の金融危機以降、リスク管理業務およびシステムは大きな進歩を遂げていますが、金融機関は「暗黒時代」の落とし子である業界改革と自己資本およびコンプライアンス規制への対応を迫られ、負担を強いられています。政治家や当局にとっては金融の安定化が最優先課題であり、金融業界にリスク管理業務の改善とインダストリアライゼーションを促してきた圧力は重要な岐路に差し掛かっています。しかし、金融機関は情報伝達の価値連鎖の多くの分野でいまだ未成熟な段階にあり、やるべきことは山積しています。
本レポートは金融業界におけるリスクおよび規制関連プロジェクトの進捗状況を検証し、新たな展望、トレンド、金融機関が注力すべき課題を明らかにしています。
規制に準拠するためのコストが嵩み、規制の強制力が増し、大量のデータが必要になるという新たな時代を迎えた今、金融機関が成功するためには規模、信頼性、透明性を兼ね備えたビジネスモデルの確立が不可欠といえるでしょう。
「数年以内に、リスク管理、コンプライアンス、規制遵守に関する情報および指標の作成業務は24時間体制のグローバル工場のようになるとみられます。すなわち、今のようなまとまりのない『家内工業』の集合体から、ジャストインタイム方式でデータを提供するサプライチェーンへと変化するでしょう。金融機関がこれに適切に対応できれば、業界の将来は楽観視できますが、結束してプロジェクトを実行することができなければ問題が生じかねません」とセレント証券グループのリサーチディレクターでレポートを執筆したキュビラス・ディンは述べています。
レポートでは、金融機関が長期間にわたる持続可能性を達成するための要件を6つ挙げています。金融機関は常に注意を怠らず、未成熟な部分を特定し、工業化の実現に向けて最も有効なプロジェクトを実行する必要があるでしょう。