カトリーナの後:保険業界の行く末
Abstract
(このレポートは2005年9月19日に英語で発表されましたが、和訳版を2006年1月16日に発行しました。)
ハリケーン「カトリーナ」の襲来は、保険業界を根底から変えることになるのでしょうか。保険会社が設定する損害想定は、「小規模・高頻度型」と「大規模・低頻度型」というパターンから「超大規模・超低頻度型」へと変わったのでしょうか。
セレントは最新レポート「カトリーナの後:保険業界の行く末」で、カトリーナがもたらす短期・長期的影響を検証し、保険業界への影響として最善と最悪のシナリオを示しています。
セレントの見解では、当面は保険会社による保険料率の引き上げや契約内容の厳格化が進む一方、公的保険制度が拡大される見通しです。長期的には、①資本要件の変更、②保険料設定方法の見直し、③引受けや保険金請求処理のアプローチの変更など、保険業界のビジネスモデルの抜本的変革につながる可能性があります。またレポートでは、こうした変革のためにテクノロジーが果たし得る役割を示し、また、この変革が保険会社とテクノロジーベンダーに及ぼす影響について概説しています。
セレントのシニアアナリストで当レポートの執筆者であるドナルド・ライトは次のように述べています。「カトリーナがもたらした人的被害や経済的影響の全容はいまだ明らかになっていませんが、現時点で明確なのは、カトリーナは単なる大型ハリケーンだったというレベルではないという事です。今回まだ日が浅い段階から、その空前のスケールの嵐とその被害は、保険業界にもたらす長期的な影響に目を向けさせています」
ライトはこう付け加えています。「カトリーナは、確かに最悪の嵐でした。しかし、カトリーナが残したものは物理的、経済的破壊だけにとどまりません。保険会社には困難ながらも克服可能な課題を、そして一部のテクノロジーベンダーにとってはまさにビジネス機会もまたもたらしたと言えるでしょう。」
上図を見ると、カトリーナ以前には損害保険会社の自己資本が年度ごとに変動していたことがわかります。レポートでは、カトリーナの影響によって、今後業界の自己資本がどのように推移するか考察しています。
このレポートは3図と3表を含む25ページで構成されています。