インドのモバイルバンキング:農村部と都市部で異なる戦略
Abstract
インドのモバイルバンキング市場は、主に都市部と農村部の2つに分けられます。セレントの推計では、都市部のモバイルバンキング利用者は2012年には6,500万人に達するとみられます。農村部では銀行口座を持たない人が多く、モバイルバンキングのビジネスチャンスが大きく広がっているため、収益の拡大が見込まれています。
セレントの最新レポート「インドのモバイルバンキング:農村部と都市部で異なる戦略」はインドのモバイルバンキング市場のエコシステムを明らかにし、都市部と農村部での成長を牽引するトレンドを分析しています。また、モバイルバンキングの今後の見通しについて規制と業界の両方の視点から考察しています。
モバイルバンキングは、インドの都市部では5番目のチャネルとして利用されているのに対し、農村部では金融サービスを受けるための最初の手段となっています。都市部でも農村部でも、モバイルバンキングの成長のカギを握るのは、規制とテクノロジーの2つの要素です。インドでは、決済に関してはユーザーのほとんどがオンラインバンキングや支店など、その他の決済手段を今後も利用すると予想され、モバイルバンキングの利用は大半が決済取引以外の目的(口座照会など)となるでしょう。一方、農村部では、行政機関と個人間の決済(G2P)が主に成長を牽引するほか、規制改正も大きな成長要因になるとみられます。セレントは、2012年には農村部の住民6,000万人以上が「代理人」を通じてモバイルバンキングの恩恵をうけることになると予測しています。(注:銀行の支店が全く存在しないインド農村部では、その地域を代表する「代理人」が銀行の支店の変わりに人々の窓口となってトランザクションをサポートする)
出典:セレント
「都市部では情報サービス企業がバンキング市場を支配する一方、規制上の制限がネックとなって決済取引分野への参入は進んでいません。しかし、先にインド準備銀行が決済基準を緩和したことを受け、この分野のビジネスチャンスが大きく広がっています」とセレントのアナリストでレポートを共同執筆したラジェシュ M Rは述べています。
「農村部では「代理人」モデルの普及に加え、緩い顧客審査基準があいまって、モバイルバンキング市場は急成長しています。しかし、農村部ユーザーを維持する上では金融リテラシーが引き続き大きな課題となっています」とアナリストでレポートを共同執筆したスリークリシュナ・サンカー は述べています。
本レポートは6図と9表を含む32ページで構成されています。