金融イノベーション・ラボ:外部ベンダーとのコ・イノベーション
2016/10/29
マイク・フィッツジェラルド ジーン‐マリー・ウビゴー
Abstract
このレポートでは、金融機関(銀行、保険会社、証券会社)が外部のテクノロジープロバイダーと提携し、「イノベーション・ラボ」を通じて実現しているコ・イノベーションの取り組みについて紹介し、以下を明らかにします。
- サービス対象となる顧客の数とタイプ
- 実際の場所
- イノベーションのタイプ(破壊的か漸進的か)
- プロジェクトの内容(デジタル化、顧客経験、アナリティクスなど)
2011年以降イノベーション・ラボの数は5倍近く増え、特に2014年には最も高い伸びを記録しました。ラボの数が最も多い国はインドで、都市別ではロンドンがリードしています。
主な活動内容は、プロトタイプの作成、ソリューションの設計、イノベーション戦略の策定などで、ソリューションのコーディングは、全体の活動の15%にとどまっています。また、ベンダーのイノベーションに参加している顧客の割合は、欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域が42%と最も高くなっています。さらに、イノベーション・ラボを積極的に活用している金融機関の半数以上は銀行が占めています。
「イノベーションは大きく2つのタイプに分けてられます。すなわち、既存のビジネスモデルを重視する『漸進的』なイノベーションと、新ビジネスモデルと新市場開拓を目指す『破壊的』なイノベーションです。そして、これらに費やされる時間はほぼ半々となっています」と銀行プラクティスのアナリスト、ジーンマリー・ウビゴーは述べています。
「外部のテクノロジープロバイダーと提携することで、社内にラボを設置するのに必要な費用を削減でき、それによってリスク回避型の企業カルチャーにも対応できるでしょう。また、彼らの迅速な開発手法と、最新テクノロジーも大きな貢献が期待できます」と保険プラクティスのシニア・アナリスト、マイケル・フィッツジェラルドは話しています。