トレーダーの役割:新たな存在価値の追求
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Abstract
ここ数年、セルサイドのトレーダーは重要な役割を背負い続けてきました。金融危機や急速なテクノロジーの進歩など資本市場では様々な動きがあり、トレーダーの役割も急速に進化せざるを得なかったのです。
セレントの最新レポート「トレーダーの役割:新たな存在価値の追求」は、これから数年間、トレーダーの役割を方向づけるとみられる様々な要因について考察しています。具体的には、テクノロジー、経済環境、規制の枠組み、資本市場そのものの進化、ビッグデータおよびソーシャルデータの増大などです。従来とは違うタイプのトレーダーを採用しようとする動きが見られます。つまり、数量的分析に優れ、テクノロジーに強く、同時に顧客の現在のニーズをくみ取り、事前に対応してよりよい関係を築くことのできるような人材が求められています。
従来のセールスデスクは運営コストが嵩む傾向にあり、システム利用の拡大と人員削減をへの促進要因となっています。といっても、人件費は低下してはおらず、何らかの妥協点を見つける必要があります。プレーンバニラ商品はHFT(高頻度取引)で売買されるようになってきているため、複雑化する商品を取り扱う、という点は鍵となります。
「厳しい経済状況の下、金融機関は取引を従来の方法で行うか、自動化するかの選択を迫られています。中には両方を組み合わせている投資銀行もあります。ここで、自行をめぐる課題を分析し、意図的な選択を行うことが重要です。そうでなければ、窮地に追い込まれかねません」とセレント証券グループのシニアアナリストでレポートを執筆した アンシュマン・ジャスワルは述べています。
レポートではセルサイドのトレーダーが担う役割の変化だけでなく、バイサイドのトレーダーの役割の変化についても分析しています。トレーディングにおいてソーシャルメディアが重要な役割を果たすようになったことも、テクノロジーの急速な進化を特徴づけています。また、規制環境、現在世界の主要市場で利用されている取引システムの概要についても解説しています。