エージェントは損保会社に何を求めているか?:成長拡大のためのシステム投資はどこにすべきか【抄訳版】
Abstract
(このレポートは2015年7月20日に"Driving Growth by Optimizing the Property Casualty Agent Experience" というタイトルで英文で発表されましたが、抄訳版を2015年10月1日に発行しました。)
※ダウンロード:レポート(日本語)=抄訳版PDF、(英語)=原文レポートPDF
北米の保険会社の多くは、独立系エージェントを通じて保険商品を販売しています。個人保険の大部分は保険会社が直接引き受けていますが、そのほとんどを大手の数社が手がけています。独立エージェントと契約している保険会社は、新規契約数とエージェントとの関係の強さが比例することを認識しています。では、保険会社がエージェントとの関係を強化して契約件数を増やすためには、引受人との個人的な結びつきを強めること以外に何をすべきでしょうか。セレントはエージェントが保険会社を選ぶ際に最も重視する点について調査しました。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | エージェントが契約先の保険会社を選ぶ際の最も重要な基準は? |
2 |
トップの保険会社はこうした基準に照らしてどのように評価できるか? |
3 | 保険会社が成長を加速させるためには、どの分野への投資を優先すべきか? |
レポートでは、調査結果を以下のようにまとめています。
エージェントが契約先の保険会社を選ぶ際の重要な決め手としてまず浮かぶのは、保険料でしょう。商品および保険料の競争力の高さも確かに重要な要因に挙げられていますが、他を引き離してトップとなったのは「引受人の対応」でした。また、「引受けの意思決定の速さ」が不可欠とした回答も60%を超え、重視されていることがわかりました。
エージェントにとって報酬は重要な要因ですが、全てのエージェントに共通した最重要項目というものはありませんでした。多くのエージェントが重要と答えたのは手数料ですが、注目すべきは、手数料率の高さは必ずしも重要ではないとした回答が40%に上ったことです。一方、インセンティブ報酬制度が不可欠とした回答は30%にとどまり、同制度について「あればよい」または「なくても構わない」とする回答は40%でした。
そのほか、エージェントが他の分野でのサポートを望んでいることも明らかになりました。ブランド力は重要で、その理由として、潜在顧客が既にブランドのイメージを持っている場合は商品を売りやすいことを挙げています。マーケティング、トレーニング、コンサルティングなどのサポートが重要と答えたエージェントは半数を超え、特にこうしたサービスから恩恵を受ける可能性のある比較的若いエージェントの比率が高くなっています。
多くのエージェントはモバイルツールやソーシャルメディアによるサポートは重要でないと答えていますが、ここでは世代により大きな差がみられました。比較的若いエージェントの25%がモバイルは不可欠であるとしているのに対し、60歳以上のエージェントでは4%にとどまっています。今後ベビーブーマー世代のエージェントの退職が加速し、X世代やミレニアム世代がこれに取って代わることから、保険会社はこうした世代間の違いに対応する必要があります。
エージェントは保険会社に、保険引受け業務と保険契約者向けサービスのサポート、また、そのためのツールの拡充を望んでいます。エージェントにとって最も重要なのは、エージェント向け管理システムとの統合とポータルの機能拡充が継続的に進められることで、逆に、モバイルアプリ、オンラインによる保険証書および手数料明細書の発行、マーケティング資料へのアクセスといった機能は重要性が最も低いとしています。
「今後、保険業界では販売チャネルの複雑化や規制強化がさらに進み、エージェントのエクスペリエンス向上およびその過程におけるコスト削減を実現する機会が生まれるでしょう。エージェント向けサービスのテクノロジーを見直し、最も重要視される機能を提供することから取り組むべきでしょう」と、セレントの保険プラクティスのリサーチディレクターでレポートを執筆したカーリン・カーナハンは述べています。
レポートは、2015年5月に独立系保険エージェントを対象に行ったオンライン調査の結果をまとめたものです。