2016年 北米損害保険査定エンジン:ABCDベンダービュー
Abstract
本レポートは北米の損害保険会社で広く採用されている査定エンジンをセレントのABCDベンダービューに基づいて評価し、ランク付けした結果を示しています。これはセレント独自のベンダー評価ツールで、①テクノロジーの先進性②機能の幅③顧客基盤④顧客サービスの拡充度―の各カテゴリーでベンダーを評価し、ランク付けするものです。また、カテゴリーごとに「XCelent」アワードの受賞者を選出しました。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 保険会社に新たなソリューションの購入を促す要因とは何か? |
2 |
ソリューションを評価する際には、どの特性・機能に注目すべきか? |
3 | 新たな査定ソリューションの導入を検討するならどの製品を評価対象にすべきか? |
独立型の査定システムが採用される理由は数多く挙げられますが、中でも、査定に関する料金、ルールおよびロジックを保険契約システムから切り離すことで、商品の市場投入をスピードアップできる点が大きな理由となっています。本レポートは、北米の損害保険会社が入手可能な独立型査定システムについて、ベンダーから収集した情報やデモおよび顧客の照会をもとに概要を示しています。
12の独立型査定システムを取り上げ、それらの機能、顧客基盤、サポート対象業務、テクノロジー、導入プロセス、価格設定、サポート内容の概要を示しています。このうち一部については、顧客の照会やソリューションに対するセレントの見解を紹介し、セレントのABCDベンダービューを使ってランク付けしています。その他のソリューションについてはこのツールを使ってランク付けするための情報が不足しており、顧客の照会やセレントの見解は掲載していません。
レポートで取り上げたベンダーは以下のとおりです。CGI: Ratabase; Clarion Door: Insured Rating; CSC: Product Accelerator; Decision Research Corporation (DRC): GameChanger Rating; Duck Creek Technologies: Duck Creek Rating; Instec: Instec Rating; Insurity: Policy Decisions Rating; Majesco: Majesco Rating; NetRate Systems, Inc.: NetRate Commercial Lines Rating; Oracle: Oracle Insurance Insbridge Enterprise Rating; SAP: SAP Product Lifecycle Management for Insurance; and ValueMomentum, Inc.: iFoundry Rating
商品管理の分野では大規模なイノベーションが進んでいます。保険会社は業務拡大、他社との差別化、規制環境への適応に取り組み、それらを効率的に実践しています。最も革新的なプレーヤーは、行動ベースの商品やサービスが組み入れられた商品など独自商品の管理に注力しています。これらの保険会社は多変量のアルゴリズムを採用し、プロダクトマネジャーは予測解析ツールを使って帳簿価格のガイダンスを提示しています。
中小の保険会社は保険料をより効率的な方法で管理し、保険料とアルゴリズムを簡単に素早くアップデートすることで市場投入スピードを速めようとしています。どの保険会社も、エージェントと保険契約者向けに販売チャネルとオンライン査定機能の拡充を図っています。また、買収機会をうかがっている保険会社も多く見られます。こうしたトレンドは、いずれも外部の査定エンジンの採用を促す潜在的な要因となっています。
保険会社が外部の査定エンジンを採用した場合、査定アルゴリズムを一度構築してしまえば、それを全てのアプリケーション(ウェブ査定、保険料比較、保険契約管理システムなど)に分配することができるため、生産性の向上、市場投入のスピードアップ、業務の柔軟性の向上につながります。最新の査定エンジンは直観的なコンフィギュレーションが可能な製品が多く、アナリストは様々な更新を行うことができます。また、インヘリタンスを含む製品アーキテクチャによって国の違いに迅速に対応できます。製品に組み入れられているモデリングおよびテストツールを使えば、提案された保険料の変更をより迅速かつ正確に分析することが可能です。
「市場に投入される独立型査定システムの数が増え、保険会社にとって選択肢は広がっています。パッケージ型管理ソフトは機能が向上しているものの、一部の保険会社ではビジネス上のニーズから独立型査定システムを採用する動きが強まっています。最もニーズが大きいのは複数の契約管理システムや複雑な商品を抱えている保険会社、あるいはオムニチャネルでの見積もりにシフトしている保険会社でしょう」とセレント保険プラクティスのリサーチディレクターでレポートを執筆したカーリン・カーナハンは述べています。