投資銀行・法人金融事業の戦略的コスト管理
Abstract
これまで、法人金融および投資銀行業務は長期に わたり大幅な成長を続けてきました。過去20年間は市場危機の局面でも銀行の減益が3年以上続いたことはほとんどなく、常に黒字を回復してきました。しか し今回の危機はこれまでと異なり、コスト削減やリストラが避けられないでしょう。
セレントとオリバー・ワイマンの共同調査に基づく最新レポート「投資銀行・法人金融事業の戦略的コスト管理」 は、2007年第4四半期に減益を記録したにもかかわらずコスト増に歯止めがかからない状況がリスクの最大要因になっていることを指摘しています。金融機 関の多くはすぐに利益が回復し、痛みを伴うコスト削減策は回避可能であるとの期待から、コストまたは人員削減には消極的なスタンスをとってきました。
しかし残念ながら、2009年に市場が大幅に改善する可能性は低いとみられます。過去の例をみても、コスト削減策は減益幅の抑制につながることはあって も、減益分をそのまま補えるわけではありません。これはコスト削減策が短期的かつ戦術的なものであり、構造的戦略ではないからだと考えられます。
本レポートではまずビジネスケースの検証を行っています。投資銀行業界は流動的な状態にあり、コスト管理の観点から、非効率なプロセスの変更や組織構造の最適化を実行するには絶好のタイミングといえるでしょう。また、組織の合理化や戦略的なコスト管理に向けたプロジェクトの実行を通じて、主要金融機関がこうした不利なビジネス環境にいかに対応しているかを紹介しています。さらに、経費抑制の取り組みに関する現状について概説しています。
レポートでは予測される最終状況を示し、次のような分野の改善が必要であると指摘しています。
- 商品戦略
- 組織構造
- 報酬体系
- フロント/ミドル/バックオフィス業務の合理化と設計
- コスト管理
- 規則
- M&A
レポートの最後では組織設計、顧客のセグメント化、規制環境の変化といった分野の改善を実現した複数のケーススタディを検証しています。
「市場は安定した利益の成長を求めています。コスト管理は、利益の拡大および新事業の開拓と並行して進める必要があります。セレントは、市場での優位を目 指す金融機関は今後5年間に立ち上げるプロジェクトは、直接自己管理が可能な分野と外部の力を予測・管理する能力が必要な分野の両方をカバーするものにな るとみています」とセレント銀行プラクティスのシニアアナリストでレポートを執筆したエンリコ・カメリネッリは述べています。
本レポートは4図を含む24ページで構成されています。