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信用危機をめぐる誤った想定: 米当局の認識を厳しく検証

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2008/12/11

Abstract


信用危機を乗り切るため、米金融当局は過去に例を見ない多様な政策を打ち出しています。しかし、今回の危機の性質に関する政府想定の多くは実際の経済指標 と必ずしも一致せず、場合によっては大きくかけ離れる結果となっています。融資市場をめぐる指標の多くは今回の危機局面で上昇しており、中には史上最高水 準に達しているものもみられます。

本レポートは、信用危機に関して政府当局が示した主な想定の一部について検証しています。特に、金融・財政当局のトップに立つベン・バーナンキFRB議長とヘンリー・ポールソン財務長官の2人が発したコメントの内容を公表されている経済指標と比較しています。

多くの場合、信用危機に関する当局の想定は誤りであったと考えられます。信用収縮が進んでいるとの見解とは裏腹に多くの指標は与信が拡大していることを示 しており、セレントのみる限り融資市場は驚くほど堅調に推移しています。FRBが発表した指標は以下の点を浮き彫りにしています。

  • 米銀全体の貸出残高は過去最高水準に達しており、信用危機の局面でも増加を続けている。
  • 銀行間の貸出も過去最高を記録し、信用危機にもかかわらず増加傾向にある。
  • 消費者金融の貸出残高も過去最高に達し、信用危機にもかかわらず増加傾向にある。
  • コマーシャルペーパーの発行残高は過去平均に近い水準にある。
  • 銀行による企業向け貸出残高は過去最高水準にあり、急速な増加を続けている。
  • 地方債発行残高は過去平均に近い水準にある。
  • 銀行の預金残高は信用危機の発生以降大幅に増加している。


「当局は、現在の金融危機をめぐり数々の誤りを犯していると思われます。それは、当局が判断材料としている根拠が間違っているからかもしれません」とセレントのヘッドでレポートを執筆したオクタビオ・マレンジは指摘しています。

本レポートは27図を含む30ページから構成されています。