欧州の銀行・証券業界におけるオフショアリング
Abstract
欧州の金融機関は今後オフショア・リソースの利用を劇的に拡大し、2010年までに45万人分にあたる金融サービス業務を欧州大陸から海外に移管するでしょう。
セレントの最新レポート「欧州の銀行・証券業界におけるオフショアリング」の見解では、欧州は大部分のインド系アウトソーシング業者にとって最大の成長市場であり、欧州の金融機関がグローバル水準のコスト構造を目指す中で、今後も成長が持続する見通しです。レポートは、業務のオフショア化を牽引する主要トレンドの概要と分析を示し、オフショアリングを積極的に推進している欧州金融機関の実例を考察しています。さらに、オフショアリングを巡る金融機関の決断に影響を与える重要課題について、国別に検証しています。
「欧州金融市場の自由化、集中化、そして拡大が続く中で、コスト削減に力を注がずオフショアリングの実績を持たない銀行は、それらを実践している金融機関に価格競争で太刀打ちできなくなるでしょう。現在、フランスやドイツなどの市場では価格上昇を背景に、銀行はオフショアリングを利用しなくても絶好の利幅を得られる状況です。しかしながら、このような状況が長続きすることはないでしょう」と、セレント証券プラクティスのマネジャーでレポートの執筆者であるローレン・ベンダーは述べています。「今後2年間は、これまでオフショアリングに着手していなかった金融機関が、これを本格的に試みる動きが続く見通しです。最終的には、ほとんどの金融機関において、業務のオフショアリングが標準的となる時期が来るでしょう。」
セレントの予測では、アウトソーシングとオフショアリングの利用が成熟化するにつれて、ますます多くの金融機関が、世界中に渡って戦略的パートナーや社内リソースとの連携を進めて行き、協力して自社の商品・サービスを提供することで、コスト効率やパフォーマンスの最大化と全体的なリスクの最小化を実現させていく見通しです。このような「グローバル・ソーシング」のトレンドと歩調を合わせ、金融機関とオフショア/アウトソース・ベンダーが長期にわたる戦略的パートナーシップを結ぶ動きも進みます。
レポートでは、ABNアムロ、ドイツ銀行、HSBCなど、ここ数年積極的にオフショアリングを進めてきた欧州の大手金融機関の実例を検証しています。また、フランス、南欧・北欧諸国の金融機関におけるオフショアリングの導入が、英国、オランダ、ドイツなどに比べて遅れている理由についても考察しています。さらに、欧州金融機関の主要なオフショアリング先であるインド、ロシア、中国、東欧諸国の動向にも注目しています。
本レポートで、主要な欧州諸国として取り上げたのは、英国、ドイツ、フランス、ベネルクス諸国、スイス、スペイン、イタリア、ポルトガル、スカンジナビア諸国です。一方、オフショアリング先の国としては、インド、中国、ロシア、東欧諸国を取上げています。また、実例を紹介した金融機関は、ABNアムロ、バークレイズ、CSFB、ドイツ銀行、HSBC、ING、ソシエテ・ジェネラル、UBSです。
本レポートは9図と3表を含む全39ページで構成されています。