TAISHIN INTERNATIONAL BANK:APIエコシステムの構築
セレント・モデルバンク・アワード2021 オープンバンキング・エコシステム開発部門受賞企業
Abstract
オープン・バンキングは比較的初期の段階にあるものの、すでに多くの金融機関が自社の将来的な商品、戦略、競争力について検討する際に変化をもたらしている。さらに、最近ではエンベデッド・ファイナンスという概念が登場したことで、より迅速かつ大規模な変化がもたらされる可能性がある。しかし、こうした新たなイノベーションの機会を積極的に活用している銀行はごく少数にとどまっている。
Taishin International Bankは、この機会を積極的に活用している数少ない金融機関の1つである。同行は2020年にいくつかの新しいサービスを開始したが、いずれもサードパーティーのワークフローにおいて顧客に銀行サービスを提供するものである。これらのサービス強化は、同行が2つの分野に注力することで実現した。その1つは、従来の標準的な銀行取引関係の枠を超え、顧客のニーズを慎重に検討すること。顧客は様々な場面でデジタル・サービスを利用しており、その多くは強力なアイデンティティ・サービスや取引関連のサービスを通じて改善することができる。Taishin International Bankはこれらのニーズへの対応を図っている。
もう1つは、これらの提案を実現する上で必要な商業的パートナーシップの構築に注力すること。同行は、デジタル・イノベーション・ラボへの投資を通じて、こうした関係を構築・育成するための環境を整えている。同行の戦略は、あらゆるオープン・バンキング戦略において最も重要となる要素の1つを浮き彫りにしている。それは、効果的なイノベーションは商品開発と顧客のニーズを満たすことに注力した場合にのみ実現可能であるということである。APIは単なる実現技術に過ぎない。
Taishin International Bankは、オープン・バンキングやサードパーティー・パートナーシップを利用して自社のデジタル・バンキングの提案を強化する上で、他の銀行の参考になる優れた事例である。したがって、同行はセレント・モデルバンク・アワード2021オープン・バンキング・エコシステム開発部門を受賞するに値する金融機関である。
下記リンク先をクリックすると、セレントのシニア・アナリストKieran HinesがTaishinのプロジェクトの重要な要素について論じる動画を視聴できる。これらのプロジェクトの詳細について、セレントレポートのサブスクリプション会員は、PDFをダウンロードしてケーススタディの全文を読むことが可能。