新規有望分野としての クロスボーダーB2B決済
Abstract
(このレポートは2004年10月29日に"Cross-Border Business-to-Business Payments: The New Frontier"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2005年2月7日に発行しました。)
セレントの推計では、全取引決済に占めるクロスボーダー決済の割合は約8%とみられます。大手銀行の多くは、トレードファイナンスと並んでクロスボーダー決済の分野にもすでに相当額を投資していますが、なお成長の余地は残されています。各銀行が競争力を維持し、グローバル取引の拡大に伴うニーズに応えるためには、クロスボーダー決済の能力拡充を図る必要があるでしょう。
企業では以前から国内だけでなく国際間でも資金を移動させているので、B2B(企業間の電子商取引)によるクロスボーダー決済にはコンセプトとしての革新性はありません。しかし、市場のグローバル化が加速する中、取引決済に参加する企業のみならず、クロスボーダー決済のサービスを提供する金融機関のニーズにも対応することが、緊急の課題として浮上しています。
セレントの最新レポート「新規有望分野としてのクロスボーダーB2B決済」は、この分野の市場概要をまとめています。レポートは、B2Bのクロスボーダー決済の市場を分析し、企業や金融機関が直面するビジネス機会および課題について概説しています。また、インターネットやウェブベースのテクノロジーを活用することで、いかに各銀行が競争上の優位を確保することができるかを検証しています。さらに、欧州、北米またはグローバルで進められているクロスボーダープロジェクトや、基準制定組織の発足状況についても詳しくレポートしています。
昨今のクロスボーダー決済を巡る環境においては、決済手段(小切手、パーチェシング・カード、ACH、電信決済など)、ネットワーク、適用基準の多様化が進み、迷うほどの選択肢が提供されています。加えて、技術的、政治的、地理的、規制上および競争上の変化が、クロスボーダー決済のプロセスや状況を一変させようとしています。企業や金融機関にとって、こうした変化が重要なビジネス機会や課題、リスクをもたらす要因となっています。
「B2Bのクロスボーダー決済システムは、企業、銀行、中央銀行、基準制定組織、ITベンダーなど、すべての関係者に真の利益をもたらすものでなければなりません。このようなソリューションを進化させ、目に見える利益を生むためには、長期的な視点と協調精神が求められます。銀行と企業が真の協調を図ることで、新基準に準拠する改良型クロスボーダーシステムの構築が可能となるでしょう。また、そうしたプロジェクトが物理的な国境を少しずつ取り除き、グローバル取引の拡大を支えて行くでしょう」と、セレント銀行グループのシニアアナリストで今回のレポートを執筆したジェイコブ・イエーガーは述べています。
多くの銀行は、トレードファイナンスと並んでクロスボーダー決済の分野にもすでに投資していますが、なお成長余地は残されているとセレントは確信しています。今後、ワンストップの決済サービスショップを開設するテクノロジーは当たり前のものとなり、銀行にも同様のサービスの提供が求められるでしょう。やがては、こうしたソリューションの可用性や特性がコモディティ化され、決済プロセスそのものにも差別化要因がなくなると考えられます。各金融機関が競争上の優位を勝ち取るためには、全包括的な金融電子サプライチェーンを実現するソリューションの構築がカギとなるでしょう。
本レポートは、13の図と10の表を含む全39ページで構成されています。