欧州プライベート・エクイティ・ファンド:2009年まで年率17.1%で拡大する見通し
Abstract
セレントの予測では、欧州がプライベート・エクイティ取引の主要市場と位置づけられるようになり、同地におけるプライベート・エクイティ・ファンドの運用資産総額が拡大する見通しです。
オルタナティブ投資ファンドの人気が過熱しています。市況が低迷する中、平均を上回る投資リターンを追及する投資家の動きを反映し、プライベート・エクイティ・ファンドへの資金流入が加速しています。プライベート・エクイティ・ファンドの運用においては米国がリーダー的存在ですが、目下最大のプレイヤーは欧州諸国です。世界のプライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル・ファンドの運用資産総額は1兆米ドル(約111兆円)を超えていますが、このうち3,600億米ドル(約40兆円)近くを欧州勢が占めています。
セレントは最新レポート「欧州オルタナティブ投資市場の概要―パートⅡ:プライベート・エクイティ・ファンドとベンチャー・キャピタル・ファンド」で、プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル市場の概要を提示しています。具体的には、有力な市場プレイヤーを列挙し、これら市場の今後の成長見通しを論じるとともに、業界内の圧力が様々なタイプの資産運用会社に及ぼす影響について分析しています。
「トップクラスのプライベート・エクイティ・ファンドへの資金流入は続くと見られるものの、今後数年間、多くのファンドは公開株式市場のパフォーマンスに及ばず、ましてこれをアウトパフォームするファンドはごく少数でしょう」と、セレントの証券プラクティスのシニアアナリストでレポートの執筆者である ローレン・ベンダーは述べています。「現在プライベート・エクイティ投資が過熱している(大部分はプライベート・エクイティ企業間の売買)欧州市場では、適正水準を上回る価格で資産を取得するケースが散見されますが、こうした資産から価値を生み出し、期待リターンを達成するのは至難の業でしょう。しかし、投資家はすでに慎重なスタンスに転じ、投資ファンドの選別を強めています。そして、一部のファンドに記録的な額の資金が流入する一方、目標調達金額に届くことさえできなかったファンドも見られます」と、彼女は加えます。
セレントは、オルタナティブ投資ファンド間の境界線は次第に曖昧となり、プライベート・エクイティ・ファンドとヘッジファンドはやがて統合されると予想します。最終的には、ヘッジファンド、プライベート・エクイティ、ベンチャー、不動産投資といった戦略の中の一つだけを追求するのではなく、市場動向に応じてこれらを総合的に組み入れた少数の大型「オルタナティブ投資」ファンドに集約されるでしょう。
レポートでは、主な市場トレンドの概要とそれに関する分析を提示した上で、市場の有力プレイヤーを挙げ、業界の展望と今後の成長性について論じています。オルタナティブ投資がこれほどの人気投資商品になった背景には、平均を上回るリスク調整後リターンを達成したことが挙げられます。セレントは、オルタナティブ投資のプレイヤーにとって、こうした高水準のリターンの持続を難しくさせている要因を検証し、他の資産クラスのファンドに与える脅威について分析しました。
レポートには、プライベート・エクイティ・ファンド、プライベート・エクイティのファンド・オブ・ファンズ、ベンチャー・キャピタル・ファンドの分野別に欧州最大規模の運用会社リストも掲載しています。
今回、対象とした主な市場は、英国、フランスおよび北欧諸国です。
このレポートは欧州オルタナティブ市場に関する2部シリーズの第二弾です。第1部は欧州のヘッジファンド、ファンド・オブ・ヘッジファンド、不動産ファンドに、第2部はプライベート・エクイティ・ファンドとベンチャー・キャピタル・ファンドに焦点を当てています。
レポートは24図と3表を含む全43ページで構成されています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2005年8月31日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。