アドバイザー向けモバイルアプリケーション:欧州市場のケーススタディ
Abstract
ウェルスマネジメントを手がける運用会社の間では、スマートフォンおよびタブレット向けアプリケーションが新たな電子チャネルを通じた潜在顧客の獲得や顧客サービスの向上につながるとの見方が広がっています。ただ実際には、アドバイザー向けアプリケーションの開発は顧客向けアプリケーションに比べてあまり進んでいないのが現状です。
セレントの最新レポート「アドバイザー向けモバイルアプリケーション:欧州市場のケーススタディ」はフランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイスおよび英国におけるモバイル用アプリケーションの開発状況を調査しています。本レポートは欧州でのモバイルアプリケーション開発を取り上げたシリーズの第2弾で、ウェルスマネジメントのアドバイザー向けアプリケーションに焦点を当てています。
ポートフォリオの評価額が下落しかねないとの危機感から、アドバイザーと顧客間のコミュニケーションの向上とリスク管理戦略の強化を求める声が高まっています。これを受け、アドバイザーはより多くのサービスをより短期間に提供することを迫られています。モバイル向けアプリは万能の解決策ではありませんが、顧客とのミーティングで利用可能な新たなツールとして有効であるほか、外出先からでも顧客のポートフォリオのモニタリングやリサーチおよびCRMシステムへのアクセスが可能になります。
「ウェルスマネジメントやプライベートバンキングサービス向けモバイルアプリは、いまだ開発の初期段階にあります。中でも、アドバイザー向けアプリの開発は出遅れ感が否めません。それでも、様々な調査の結果をみる限り、アドバイザー向けアプリの開発・調査段階に入っている運用会社の数は増えています。2012年終わりから13年にかけて、複数のアプリが実用化にこぎつけるものとみられます」と、セレントのアナリストでレポートの共同執筆者であるアレキサンダー・カマルゴは述べています。
今後投入されるアプリケーションのほとんどは、スマートフォン向けではなくタブレット向けになるとみられます。「アドバイザー向けアプリは顧客とのミーティングで利用するための機能が中心となるため、顧客と一緒に閲覧可能な大型画面が必要となります。将来的には、スマートフォン、タブレットともそれぞれの特徴に合った利用方法が拡大するとみられます。スマートフォンは、モバイル警告や市場データ閲覧といった機能の利用が広がる一方、タブレットは顧客とアドバイザーのミーティングでのやり取りやポートフォリオのモデリング・構築のために使われる場面が増えるでしょう」と、リサーチディレクターでレポート共同執筆者のイザベラ・フォンセカは述べています。
レポートでは、欧州のウェルスマネジメント市場におけるモバイル利用の促進要因とトレンドの概要をアドバイザーの視点から解説し、上記6ヵ国における携帯電話、スマートフォンおよびタブレットの普及状況を比較・分析しています。また、国別にアドバイザーの人数を調べ、調査結果を含めた各市場の現状を詳しく説明しています。これらの調査結果は、ウェルスマネジメントを手がける運用会社によるアドバイザー向けアプリケーションの投入状況を明らかするもので、それによって各市場の成熟度が浮き彫りになるでしょう。
最後に、近い将来ウェルスマネジメントのアドバイザーによるモバイル利用が広がるのに伴い、継続的に見込まれる成長機会について市場ごとに分析しています。
富裕層顧客向けアプリケーションについては、シリーズの第1弾の既刊レポート「富裕層顧客向けモバイルアプリケーション:欧州市場のケーススタディ」をご覧下さい。