銀行業界における電子署名システム:ベンダー概要
Abstract
バンキングに電子署名を採用することの実行可能性を問う議論は長年にわたり展開されてきましたが、ここ10年から12年でようやくその結論が見えつつあります。かなり時間がかかったものの、金融業界ではさほど珍しいことではありません。
金融業界では規制の厳しさやリスク回避志向の強いカルチャーなどもあって、テクノロジーの成熟に時間がかかる傾向が強く、特に銀行ではシステムの導入が遅れるケースが多くなっています。電子署名もその例外ではありません。銀行ではようやく最近になって、コスト低減、サイクルタイムの短縮、サービスの向上のため様々な業務機能や手続きに電子署名を導入するようになっています。電子署名の普及が勢いづいた背景には、消費者サイドのテクノロジーの進化もあります。スマートフォン、タブレット、タッチパネルコンピュータなどの普及により、電子署名がより身近になったからです。
セレントの最新レポート「バンキング向け電子署名システムベンダー」は北米の銀行を顧客に持つ、あるいはこの市場への参入を目指している電子署名ベンダー16社を特定し、うち11社についてその特性を紹介しています。それらの多くは、電子署名法の施行時からこの市場に進出しています。
金融機関は、テクノロジーのメリットは認めていても、組織内のコンプライアンスまたは法務部門からの承認取得が義務付けられていることが導入に二の足を踏む要因となっています。ある程度時間が経過したテクノロジーであれば十分な利用事例があるため、組織内でコンプライアンスの承認を得る必要はないかもしれませんが、これらの部門がなお組織全体への導入を阻む要因になる可能性は残っています。
「銀行はサイクルタイムの短縮、業務効率の向上、より厳しくなる顧客ニーズへの対応に取り組む必要があることは認識しています。スマートフォンやタブレットといった個人用デバイスを使いこなす消費者が増え、彼らは金融機関にも取引しやすい環境の整備を求めるようになっています」とセレント銀行グループのアナリストでレポートを執筆したスティーヴン・グリーアは述べています。
レポートでは、電子署名システムの市場の概要を明らかにし、電子署名の利用事例やその利用をめぐるトレンド、次に、テクノロジーの側面から、金融機関に及ぼす影響、また、現在市場に投入されている様々なベンダーソリューションについて、技術仕様の詳細、顧客データ、導入方法を紹介しています。