信託のアウトソーシング:投資運用と事務のアウトソーシングにおけるメリットとビジネス機会を検証
Abstract
信託業界は、1世紀以上にわたって米国のバンキングおよびウェルスマネジメントの分野で存在感を示してきました。しかし、ここ20年間は高い収益性を上げ られない状況が続いています。銀行は信託部門の収益性の向上と顧客価値提案の改善を実現するため、投資運用と事務の両分野におけるアウトソーシングに取り 組んできました。
セレントの最新レポート「信託のアウトソーシング:投資運用と事務のアウトソーシングにおけるメリットとビジネス機会を検証」は、信託業務のアウトソーシングソリューションの基本的な選別要因と予測される導入効果、現在のアウトソースベンダーの選択肢について論じています。
2つのアウトソーシングを比較すると、事務のアウトソーシングの方がより歴史が古く豊富な実績があります。アウトソーシングを利用することで個々の銀行ま たは信託会社は業務上の責任から開放され、それを経験豊富なアウトソーシング専門会社に委託することができます。レポートでは、以下のような事務委託者に とっての重要なメリットについて詳しく説明しています。
- 少ない限界コストでより多くの取引と資産への対応が可能なスケールメリットが得られる。
- より経験豊富な信託事務の担当者や管理者に委ねられる。
- 事務担当者の採用およびトレーニング体制がより優れている。
- より経験豊富なITスタッフが信託システムをサポートする。
投資運用のアウトソーシングは、比較的最近になって広がりを見せています。信託会社はより広範な資産運用マネジャーとの競合を余儀なくされており、その多くは既存の投資運用商品や人材では太刀打ちできないと考えられています。
レポートでは、投資運用のアウトソーシングを利用するメリットとして以下のような点を挙げています。
- 複数のプロバイダーによるフルオープンアーキテクチャなど、幅広い投資機会が得られる。
- セパレートリー・マネジド・アカウントやオルタナティブ運用を通じて、評価の高い資産運用マネジャーにアクセスできる。
- 優れたツールやトレーニングを備えた経験豊富な投資の専門家に任せられる。
- パフォーマンス上位の資産運用マネジャーの人材維持および報酬システムは、コ
ミュニティバンクや地方の民間信託会社における運用担当者の報酬を大きく上回る。
「アウトソーシングは、信託会社が新たなウェルスマネジメント分野で再び存在感を示すための絶好の機会となるでしょう。信託会社はアウトソーシングを利用 することで、最も得意な分野に注力することができます。例えば、信頼のおけるアドバイザーがウェルスマネジメントを通じて地域におけるプレゼンスを示すこ となどです。信託会社や銀行のCEOの多くは、これまでアウトソーシングを自社の企業使命に対する混乱または阻害要因としてその採用に消極的でしたが、こ れは大きな見当違いです。アウトソーシングを行うことで、信託会社は重要な差別化要因に注力し、優れた顧客価値提案を構築することが可能になるからです」 と、セレントのウェルスマネジメントプラクティスのシニアバイスプレジデントでレポート執筆者のロバート・J・エリスは指摘しています。
レポートではアウトソーシングの各分野に進出している様々なベンダーを取り上げ、分析しています。信託会社の間では、ここにきて投資運用と事務のアウト ソーシングを組み合わせたハイブリッド型モデルも注目を集めています。レポートではこのタイプのアウトソーシングモデルを体現したSEIの例を取り上げ、 その高い可能性について論じています。また信託提携を通じて、スケールメリットを生かしつつ従業員とシステムを信託会社や銀行から提携先信託会社に移行す るアウトソーシングモデルについても分析しています。最後に、信託会社によるアウトソーシングの将来像について見通しを示しています。
本レポートは2図と2表を含む全46ページで構成されています。