欧州の債券市場とMiFID2:揃わない足並み
2012/04/20
ジョセフィン・ドゥ・シャズルネ
Abstract
現物債券市場における投資銀行の収入は2013年、2010年と比して15~20%の減少となる見通しです。現在の環境下で、この分野がEUの金融商品市場指令(MiFID)の規制対象に加えられれば、一部の投資銀行にとっては決定的な打撃となりかねません。
セレントの最新レポート「欧州の債券市場とMiFID2:揃わない足並み」は欧州の現物債券市場の動向や市場プレーヤーを悩ませているMiFIDの主な規制について分析し、MiFID2導入を成功させるために市場プレーヤーが何をすべきかを論じています。
投資銀行は今後、現金集約型のクレジットおよび金利商品取引から、より効率的な取引フローや電子取引へと移行していくものとみられます。それに伴い大型テクノロジーへの投資を進め、バイサイドに債券の注文執行アルゴリズムやスマートオーダールーティングといった機能を提供するようになるでしょう。革新的なビジネスモデルを持つ新規プレーヤーが相次いで参入し、リクエスト・フォー・クォート(RFQ)制度を導入して複数商品の取引執行を取り扱う取引場所が増えるとみられます。バイサイドは電子取引能力の拡大に向けた投資を迫られ、流動性供給の担い手となるでしょう。
「現在の環境下で、MiFIDの規制対象が現物債券の分野にまで拡大されれば、悪影響を及ぼしかねません。現在、流動性は枯渇状態にあります。市場構造の変革が進まなければ、多くのプレーヤーが市場撤退を余儀なくされる可能性があるでしょう」と、セレント証券グループのシニアアナリストでレポートを執筆したジョセフィン・ドゥ・シャズルネ は述べています。
レポートでは、欧州の現物債券市場におけるMiFID2の導入を成功させるために、市場プレーヤーが取り組むべき6つの動きについて説明しています。