シンガポールの保険市場とITの概要
Abstract
シンガポールの保険市場はアジアの中でも先進の市場の1つであり、人口1人当たりの保険密度は1,987.7米ドルに達しています。
シンガポールの保険市場は比較的閉鎖的な市場といえるでしょう。同国の保険業界全体の2008年のIT投資総額は1億6,000万米ドルと推計されます。金融危機の影響で2009年と2010年はIT投資額の急増が見込めないものの、2011年から2012年にかけては投資の伸びが加速するとみられます。
シンガポールでは損害保険市場の寡占があまり進んでおらず、上位5社の市場シェアは全体の5分の2となっています。この分野は市場に参入しているプレーヤーの数が多く、競争が激化しています。同国の保険市場に参入している直販保険会社は2009年1月現在61社で、うち71%が損害保険会社、 21%が生命保険会社、残りの8%は複合型の保険会社となっています。 また、生命保険分野では2007年現在で総収入保険料の上位5社が市場シェアの77%を占めています。
シンガポール市場では、多様な損害保険商品が販売されています。生命保険分野では投資型商品の販売が最も高い伸びを示していましたが、2008年には従来型の保険商品の販売が30%超の伸びを記録し、新商品の総収入保険料に占めるシェアも62%と高水準を記録しました。金融危機を受け、投資型商品の買い控えが進む一方、伝統的な生命保険商品に対する消費者の関心が徐々に復活しています。
出典:セレント
シンガポールでは保険代理店がなお生命保険商品の主な販売チャネルとなっていますが、市場シェアは年々減少しつつあります。一方、バン カシュアランスの市場シェアは増加傾向にあり、2008年は27%まで拡大しています。その他の販売チャネルも市場シェアを急速に伸ばしています。
「シンガポール経済の急成長により国民の資産は拡大しつつあります。保険業界を含む金融業界の成長を牽引する同国固有の要因として、高齢化と中央積立基金(CPF)制度が挙げられます」とセレントのアジアリサーチグループのシニアアナリストで今回のレポートを執筆したウェンリ・ユアンは述べています。
本レポートは4表と30図を含む全44ページで構成されています。