日本の証券市場の動向 パート1:証券取引所の動向と日本取引所の誕生【日本語】
Abstract
(このレポートの英文版を"Capital Market Trends in Japan, Part 1: Birth of a New Exchange "というタイトルで2013年3月28日に発表しました。)
欧米では最良執行に関する規制導入後、マーケット構造が大きく変化しました。2000年代は、多様化の進展と規制の強化、そして市場破綻と、わずか 10年足らずの時間軸のなかで、欧米市場を中心に実に様々な変化が連続して起きた時代と言えましょう。こうした米国と欧州における最良執行の流れとそれに 伴うマーケット構造の変化は、今日のトレーディング環境を考察する上で大きな前提事項となります。そして、証券取引所の変遷と、最良執行を求める投資家の 圧力は、証券会社のトレーディング技術に劇的な変化をもたらしました。
セレントの最新レポート「日本の証券市場の動向 パート1」では、証券市場の動向について、激動の欧米市場のこれまでの経緯を踏まえ、日本市場の現状と今後について展望しています。
「日本市場には、これまでのところ、欧米市場が経験した、ビックバンのような構造変革とそれに伴う断層的な技術革新の大津波は到達していません。取引所統 合の経緯も、欧米におけるグローバルな合従連衡とは性格を異にします。日本取引所の合併審査において、公正取引委員会が認めた3つの問題解決策が象徴的で す。すなわち、①上場関連手数料の決定における外部有識者による判断関与、②PTS事業者の確保、③デリバティブ関連業務における海外ライセンス事業者の 確保の3点は、独占禁止法への配慮のみならず、日本取引所がグローバルな資本市場のなかで多様性と競争力を担保するための条件に他ならないと考えます」と アジア金融サービスグループのシニアアナリスト、柳川英一郎は述べています。
パート1では、世界の証券取引所を取り巻く環 境変化と、ビジネス機会、戦略上の選択肢をレビューした上で、東京証券取引所のarrowheadへの取組経緯と現状、そして、日本取引所への歩みをまと めています。続くパート2においては、こうした取引所ビジネスの変遷を、今日のトレーディング環境の与件として捉え、最良執行を巡る制度革新と市場構造の 変化、トレーディング技術革新の状況、そして、それらの日本市場での現状を論述しています。
本レポートは、日本の証券市場に関する一連のレポートの第1弾です。24p、6図と11表で構成されています。