流動性管理の進化:新たな運転資本管理ソリューション
Abstract
流動性管理をめぐる変化は著しさを増しており、ソリューションの統一を求める企業の声は強まっています。企業の財務担当者は、2010年に総勘定元帳、ERPシステム、特殊なワークステーション、統合専門プロバイダーが提供するソリューションなどの統合が進展することを期待できるでしょう。
信用危機の進行に伴って貸し渋りとリスク回避が深刻化するなか、「キャッシュ・イズ・キング」という格言は単なる流行語を超えた大きな流れとなっています。キャッシュの確保とその管理の重要性は一段と高まっています。企業の財務担当者は、流動性の最適な管理方法とテクノロジーが果たす役割に注目しています。キャッシュの運用に際しては、日々の流動性をいかに最適に管理するか、短期投資をいかに最適に行うかといった点が課題になります。
セレントの最新レポート「流動性管理の進化:新たな運転資本管理ソリューション」は、流動性管理をめぐる主な課題とトレンドについて論じています。流動性管理の最終目標は、利用可能な資金の一覧やデータに基づくタイムリーな対応を可能にすることにあります。セレントは、今後5年以内にその目標を達成するためのテクノロジーが開発されるとみています。より注目すべきは、目標達成の担い手や方法が多岐にわたり、それによって幅広い法人顧客にメリットがもたらされるという点です。ERPプロバイダー、ワークステーションプロバイダー、銀行はそれぞれが企業に対して、グローバルなキャッシュ残高の把握機能、データ分析ツール、流動性管理ツールなどを提供する取り組みを進めるでしょう。
流動性管理の改善に向けて企業の担当者が望む点
主なニーズ |
概要 |
(第1段階) データ統合 |
データソースを信頼性の高いプロバイダーに絞る |
(第2段階) データ統合 |
財務情報の伝達に使うデータ言語を統一する |
(第3段階) グローバルソリューション |
全ての通貨への対応と銀行システムの主要プロバイダーとの接続を可能にするベンダーソリューションを構築する |
(第4段階) 統合 |
取引データと総勘定元帳、エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)システムを容易に接続する機能を設ける |
(第5段階) 分析 |
分析ツールを使って選択肢を把握しやすくする機能を設ける(データの改善は分析力の向上につながる) |
(第6段階) 執行時間 |
データの分析とデータに基づく投資判断の執行に最大限の時間を確保する |
出所:セレント |
「企業の財務担当者は、自社のキャッシュ管理強化に向けた取り組みに以前より積極的に関与するようになっています。特に、短期的に高い投資利回りを達成することと、リスクと利回りのバランスをとることを両立させるよう注力しています」と、セレント銀行グループのシニアアナリストであるエンリコ・カメリネッリは述べています。
「先行きが不透明な状況で、一部の財務担当者はキャッシュの大部分を国債や短期の現金等価物に投資する一方、コマーシャルペーパーや資産担保証券への投資を避けています」とカメリネッリは付け加えています。
レポートでは最初に企業財務に関する市場動向の概要を示し、現金および現金等価物の役割が増している現状に焦点を当てています。次に、キャッシュの蓄積と残高予測をめぐる動きを紹介しています。また、大手企業の財務担当者の日常業務に変革をもたらすとされるSWIFTのSCORE(Standardized Corporate Environment)システムに関する最新情報も提供しています。最後に、セレントが2006年に行ったマイクロソフト社のケーススタディ(同社の財務改革プロジェクト「Fort Knox」を検証)のその後の状況についても紹介しています。