欧州のレポ市場
Abstract
バーゼルⅡの適用に伴い、欧州レポ市場の大幅な拡大は今後も続くと、セレントは予測しています。
欧州のレポ市場はここ5年間で一貫して成長を続け、市場規模は2001年の19億ユーロ(約3000億円)から2006年末には6兆4,000億ユーロ(約1045兆円)に拡大しました。セレントは最新レポート「欧州のレポ市場」の中で、バーゼルⅡの適用に伴い、同市場は今後も大幅な拡大を続けると予測しています。市場の持続的な成長は、金融機関、電子取引プラットフォーム、注文マッチングシステムのプロバイダーなどに大きなビジネスチャンスをもたらすでしょう。
欧州レポ市場は売買高の大きさで注目を集めていますが、1日当たりの取引件数をみると状況は異なっています。セレントの調査によると、1日当たりの取引件数はわずか25,000件余りにとどまっています。これは、少数の積極的な市場参加者が大口取引を行っていることを示しています。しかし今後は、安全な投資商品を追求する資産運用会社や、効率的な資金調達方法を求める大手企業などを、新たな市場参加者として取り込むことができるでしょう。
「取引方法の違いによって、1件当たりの平均売買代金には大きな差があります」とセレントアナリストでレポート執筆者のアクセル・ピエロンは述べています。OTC取引やブローカーとの電話取引の場合、1件当たりの平均売買代金は約1億6,500万ユーロ(約270億円)、1日当たりの平均売買代金は1兆4,000億ユーロ(約230兆円)と推計されるのに対して、電子取引の平均売買代金は1件当たり約3,000万ユーロ(約50億円)、1日当たり3,700億ユーロ(約60兆円)とみられます。
欧州レポ市場では電子取引はまだ主流とはいえず、取引全体に占める電子取引の割合は49%、OTC取引およびブローカーとの電話取引は51%を占めています。
「このことは、欧州レポ市場における電子プラットフォームのビジネスモデルを巡る問題を提起しています」とピエロンは指摘しています。「おそらく電子取引プラットフォームは、市場の新規参入者の取り込みによる収益を期待しているものと思われます。」
レポートでは以下の点についても論じています。
• 欧州レポ市場における対顧客取引の電子化が進む可能性が高い。
• 欧州レポ市場では、引き続きOTC取引が主流を占める。
• 市場参加者の増加に伴い、規制当局の監視が強化されると思われる。
• レポ市場ではマネーマーケット商品が支配的である。
• 欧州におけるレポ取引は集中化が進んでいる。
• 欧州の金融業界では、レポ取引はさほど浸透していない。
• 欧州レポ市場ではディーラー間取引が大部分を占め、対顧客取引はごく少数にとどまる。
レポートでは、売買高の伸び、電子取引の導入、市場発展の原動力などの観点から欧州レポ市場の現状を分析しています。また、「ICAP-Brokertec」、「MTS MMF」、「Eurex Euro Repo」といった銀行間取引プラットフォームについて、年間売買代金、推計市場シェア、開発戦略などを紹介しています。さらに「ETCMS」と「Trax II」という2つの注文マッチングシステムについても簡単に分析しています。
本レポートは23図と4表を含む32ページから構成されています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2007年5月30日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。