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世界の銀行業界のIT投資動向

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2016/09/07

Abstract


北米、欧州、アジア太平洋および中南米の銀行による2016年のIT投資総額は2,410億ドルに拡大し、前年比で3.9%増となる見通しです。昨年の我々の予想では2016年のIT投資額を前年比4.4%増としており、実際にはこれをやや下回る水準になるとみられます。ちなみに2015年の投資額は前年比4.6%増でした。増加の勢いは一貫しており、今後数年間はこのまま続くとみられます。我々は、この4地域のIT投資総額は2017年には4%、18年には4.3%それぞれ増加すると予想しています。

KEY RESEARCH QUESTIONS
1 世界の銀行による2016年のIT投資総額は?

2

IT投資のトレンドは?
3

地域によってIT投資にどのような違いがあるか?

本レポートは北米、欧州、中南米およびアジア太平洋地域におけるIT投資のトレンドを分析し、これらの地域のIT投資トレンドの方向性を比較しています。

「北米の銀行ではリテールとホールセールの両分野でテクノロジー投資が着実に拡大するでしょう。フロント、ミドル、バックオフィスの近代化が進められており、複雑なミドルウェアの統合によってこれらのシステムを連携されています。それに伴い、金融機関は新たなプロジェクトにリソースを振り向けているため、新規投資は緩やかながらも着実な増加ペースをたどっています」とセレント銀行プラクティスのアナリストでレポートを共同執筆したスティーブン・グリーアは話しています。

「欧州全体でみると、全ての業務でIT投資の増加が見込まれます。 ただし、経済成長が鈍化している国が増えています。投資額はまだ減少していないものの、規制強化に伴う負担が増し、コストと収益の両方に低下圧力がかかり事業環境が厳しくなっている銀行が増えています。こうした状況はIT投資全体の伸びにも影響を及ぼすでしょう」と銀行プラクティスのシニアアナリストでレポートの共同執筆者であるガレス・ロッジは指摘しています。

「アジアの銀行は激しい競争にさらされています。この地域の銀行セクターには新規参入(インターネット企業など)が相次ぎ、新たな規制も設けられているため、特に動きが活発化しています。アジアの銀行は地域内の顧客に最大限の保護、価値および満足度を提供するため、常にビジネスモデルの更新を通じて新たな規制や改革への対応と革新的なテクノロジーの導入を余儀なくされています」と話すのは、銀行プラクティスのアナリストでレポートの執筆者の1人であるフア・ジャンは述べています。

「中南米ではブラジルや太平洋同盟のその他の加盟国が主導するかたちで、多くの国でここ数年経済成長が続いてきましたが、ここにきて経済的、社会的、政治的に新たな局面に突入しました。デジタルに精通した若年層顧客のニーズは変わりつつあり、デジタルバンキングにとって今後1~5年間が転換期になるでしょう。銀行は効率性と敏捷性の向上に取り組みながら、未来型銀行への変革を進めています。そして自行の計画を遂行するため、IT投資を続けていくとみられます」と銀行および保険プラクティスのシニアアナリストでレポートのもう1人の共著者であるホアン・マツィーニは述べています。

本レポートは北米、欧州、中南米およびアジア太平洋の4つの地域に分かれています。各項では、顧客と投資のタイプ(社内または社外、保守管理または新規システム)に基づいて予算の配分状況を分析しています。また、各地域におけるテクノロジーの主要トレンドの概要も示しています。

36ページから成る本レポートには20の図と8つの表が掲載されています