DIMENSIONS: 2024-2029年 リテールバンキングにおける分野別IT支出
2024年版
Key research questions
- 今後5年間のリテールバンクによるIT投資額は?
- 投資が最も伸びる事業分野は?
- バックオフィスへの投資は行われているか?
Abstract
大半の先進国市場でインフレ率が目標水準に戻りつつあり、金利が頭打ちになる中、リテールバンクのIT支出は、米国市場を中心に金利上昇による混乱に見舞われていた2023年初頭の予想よりも底堅いことが確認されている。2023年のIT支出の実績は、アジア太平洋地域で低調な伸びにとどまったものの、北米と欧州の両方で予想を上回ったことから、世界全体では2,610億ドルと予想通りの水準に達した。2024年の世界全体の見通しも従来予想に沿った水準となっており、リテールバンクのIT支出は2,730億ドルに達する見込みである。
2025年と2026年のIT支出については、北米に加えて欧州もある程度牽引する形で従来予想を上回る見通しとなっており、世界のIT支出はいずれの年も5.6%の伸びが見込まれている。背景には、要件の義務化に加え、顧客エクスペリエンスの向上と商品のイノベーションをサポートするアジリティの強化を求める動きがある。しかし、アジア太平洋地域と中東アフリカ地域は (中国の相対的な弱さを要因に) 長期トレンドを下回る見通しである。したがって、今後も北米と欧州がIT支出の多い上位2地域にとどまるだろう。
本レポートでは、セレントのDimensionプログラムから得た重要なインサイトを活用して2029年までのリテールバンクによるIT支出の見通しを示すほか、セレントのDimensions IT支出予測モデル2024による主な調査結果も紹介する。対象としたのはサービス分野別のIT支出であり、リテールバンクによるフロント、ミドル、バックオフィス (アカウント管理、オペレーション、デジタルチャネル、マーケティング、リスクの各分野を含む) へのIT予算の配分状況について調査した。本レポートでは世界全体と地域別の傾向を分析している。