地方銀行におけるトレードファイナンス: 戦略オプションはどうするか?
Abstract
過去5~10年の間に、トレードファイナンスビジネスは劇的な変化を遂げました。最新テクノロジーの出現と、トレードファイナンスシステムには進化が必要と受けとめる大手プレイヤーらの動向によって、市場参加者は当惑させられてきました。
セレントの最新レポート「地方銀行におけるトレードファイナンス:戦略オプションはどうするか?」では、トレードファイナンスビジネスの継続を望む地方銀行の戦略オプションについて検証しています。レポートでは、トレードファイナンスの行方がなぜ重要であるのか、その理由を解説し、トレードファイナンス部門の改革戦略(特に業務の集中化)とその実行策に関する詳細な情報と分析を提供しています。また、トレードファイナンスの戦略を巡る簡単なケーススタディも3例掲載しました。
セレントのアナリストで本レポートの執筆者であるアクセル・ピエロンは次のように述べています。「ABNアムロ、JPモルガンをはじめとするトレードファイナンスの大手プレイヤーは、地方銀行からのシェア獲得に乗り出しています。その際、他行からの業務受託の拡大を目指す友好的な戦略をとるケースもあれば、価格やサービス面で競争を仕掛けるといった、より積極的な戦略を打ち出すケースも見られます。結果として、多くの地方銀行が、トレードファイナンス戦略の方向性に頭を悩ませ、この分野における自行の将来性を危惧しています。」
銀行業界では、トレードファイナンスビジネスに変化の風を感じています。このため、ほとんどの銀行が、規模の大小にかかわらず、自行のトレードファイナンス業務に何らかの策を講じています。銀行が各自の将来的な戦略に基づいて、取っている主な選択肢は、①トレードファイナンス業務の集中化、②業務のアウトソース、③現状維持、の3通りです。
ピエロンは続けます。「地方銀行がトレードファイナンス業務における競争力を維持するためには、業務の集中化によって、顧客関係、きめ細かいネットワーク、専門知識といった既存資産の活用が不可欠です。その結果として、大幅なコスト削減は言うまでもなく、顧客サービスの質の劇的な向上、戦略的な事業展開の機会獲得も望めるでしょう。」
トレードファイナンス業務の集中化は、コスト削減だけが目的ではないはずです。しかし、セレントの推計では、こうした戦略の導入によって取引コストで13%、システム管理コストで18%の削減が見込めます。
本レポートは、22図と1表を含む全49ページで構成されています。