金融教育から金融能力へ:革新のチャンス
Opportunities for Innovation
Abstract
先の金融危機では、米国人は所得水準の高低にかかわらず、自らの財務管理に悪戦苦闘し、予期せぬ経済的逼迫に対する備えが不十分であることが露呈しました。全米消費者信用基金(NFCC)が2009年に行った消費者の金融リテラシーに関する調査によると、パーソナル・ファイナンスについての自らの知識レベルをC、DまたはFと評価している回答者が41%だったほか、支出計画を立てないと答えた人は57%、自由に使える預金や万が一のための貯金がない人は32%、請求書の期日を守らないことがあると答えた人が26%いることがわかりました。金融業界全体が新たな金融教育の方向性を策定する必要性は、かつてないほど強まっています。
CFSIのレポート「金融教育から金融能力へ:革新のチャンス(当初の発行は2010年3月)」は、未来の財務管理に向けた移行プロセスでは金融能力の向上を最大の焦点にすべきであると提言しています。レポートでは、プロバイダーが制作した「金融教育」から、知識の取得と並行して行動の変化を促す「金融能力」への転換が欠かせないと指摘しています。
金融機関の間では、提供する商品やサービスの内容に対する顧客の理解を深めるために自らが果たすべき役割が一段と重要になっているとの認識が広がっています。とはいえ、金融教育はまだ歴史の浅い分野です。2000年にファニー・メイ財団が90の金融教育プログラムを調査した結果、その70%以上は1990年以降に策定されたものでした。金融教育が進化するなか、変革者や専門家は、行動経済学を通じて金融能力の促進を図り、経済の安定を実現していくことの必要性を強く感じています。
レポートでは、まず金融教育からの転換を検証した上で、金融能力の新たな構想の枠組みを提示しています。具体的には、金融コミュニケーション、金融知識、金融契約などを導入する可能性を説明しています。最後に、プログラムの影響について分析しています。
本レポートはCFSIが作成したものです。セレントはCFSIとの提携契約に基づき、一部のレポートを選択し、ここで発表しています。