インターディーラーブローカー業界の電子化
Abstract
インターディーラーブローカー業界では商品の標準化、流動性の調整、電子化などを背景に構造的な変化が起こりつつあります。その結果、同業界はその規模、取引件数、クオリティ、執行コスト、テクノロジーなどの点で取引所並みの構造を持つようになるとみられます。
セレントの最新レポート「インターディーラー・ブローカー業界の電子化」は、インターディーラーブローカー業界の構造、成長要因、商品および顧客ポートフォリオ、テクノロジー、競争力などについて検証しています。特に業界に影響を与える3つのトレンド(商品の標準化、流動性の調整、電子化)を取り上げ、これらのもたらす影響を詳しく分析しています。
インターディーラー業界は大規模で、かつ成長を続けています。2007年の収入は既に70億ドル(約7067億円)に達しており、2009年には93億ドル(約9388億円)に増加すると予測します。また、市場の90%以上を5社が支配しており、市場は成熟しています。
出典: インターディーラーの年次レポート、業界情報、セレント
同業界では過去5年間に構造的な変化が進行し、主要プレイヤーが4または5社に統合されつつあります。2001年にはトップ3社の収入合計は業界全体の収入の50%未満でしたが、現在は約70%に達しています。資本市場では、主な資産クラスの商品を標準化する動きが続いています。これは取引の拡大にはつながりますが、マージン逼迫を招く結果にもなっています。商品の標準化とマージンの逼迫に伴い電子取引の特徴である執行の質と効率性の向上が避けられなくなり、必然的に取引の電子化につながります。そのため、電子化が急速に進んでいます。電子取引による収入はインターディーラー業界全体の収入に対して2004年には5%にすぎませんでしたが、今後2~3年で65%に拡大するとセレントは予測します。
「これまで電話取引が主流だったインターディーラー取引の電子化により、業界が大きく変わることは間違いないでしょう。この市場の新規参入余地は大きいものの、参入後、そのまま成長を維持するのは簡単ではないでしょう。」とセレントのアナリストでレポートを執筆したサンディープ・へバーは述べています。
本レポートは22図と4表を含む32ページで構成されています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2008年3月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。