リテールバンキングのテクノロジー別IT支出予測 2023-2028
2023/09/27
クラウドが主流に
Key research questions
- 今後5年間のリテールバンクによるIT投資額は?
- 最も急成長する地域は?
- 最も大きく成長するテクノロジー分野は?
Abstract
新型コロナのパンデミックで幕を開けた2020年代だが、長期間続いた超低金利が終わり、2022年から23年にかけての金利上昇がリテールバンキング業界の推進力となっている。金利上昇を受けて多くの市場では純金利収入が改善しているが、一部の市場 (特に米国) では、銀行が新たな資産・負債状況に直面し、混乱が生じている。
さらに、多くの市場ではインフレ圧力も重なったことで、銀行は顧客の獲得と維持が困難になり、顧客エクスペリエンスと商品・サービス提案の両方について改善を図る必要性に迫られている。その結果、コスト上昇圧力が続いているにもかかわらず、IT支出が増加している。
前年の反動でIT支出が増加した2021年に続き、2022年も世界のIT支出は4.3%増加した。この傾向は今後も続く予想で、2023年のIT支出は2,613億ドルに達する見込みである。このように、現在もパンデミック直後の増加傾向は続いているが、米国のTier 2およびTier 3銀行のIT支出の伸びが減速している影響で、2023年の予想は年始の当初予想からは引き下げられている。
本レポートでは、セレントの「テクノロジーのインサイトと戦略に関する調査」で得た主要なインサイトを活用して2028年までのリテールバンクによるIT支出の見通しを示し、セレントのバンキングIT支出予測モデル2023-2028による主な調査結果を紹介する。対象としたのはテクノロジーのタイプ別IT支出であり、リテールバンクにおける社内のIT担当者、インフラ、アプリケーション、サービスへの支出状況について調査したほか、今年新たにクラウド支出も対象に加えている。本レポートでは世界と地域の傾向を分析している。