APIと非構造化データが極大化する投資機会
日本の証券市場おけるリサーチマネージメントシステムの隆盛
世界中の証券市場で、リサーチテックが隆盛している。
かつては比較的日陰の存在であった投資調査部門は、フィンテックサービスプロバイダーの着実な流入を目の当たりにしながら、そのバリューチェーン、つまりリサーチ活動のすべての部分をデジタル化し、再構築する機会に直面している。すでにデジタルの激流を経験している他の金融サービスやITサービスと同様に、バイサイドのリサーチ部門は、パートナーシップやアライアンス、買収の可能性も含めて、ベンダーの新サービスや新規参入企業の動向にもっと注意を払うべきだろう。
MiFID IIにより、欧州の投資調査予算は急激に減少しており、調査カウンターパーティの総数も減少している。一部のグローバル・バイサイドは、世界中の証券市場におけるリサーチコストの最適化のため、投資調査予算の全体的な見直しを進めている。また、多くの米国の資産運用会社は、欧州の同業他社に倣い、MIFID IIに基づいて投資調査予算の見直しとその内製化に着手している。日本市場においても、同様な傾向がみられる。セルサイドの証券会社は、アルゴリズムトレーディングにおけるAI/ ML(機械学習)の適用を進め、資産運用会社は、その合併と調査部門の統廃合を通じてリサーチ予算の最適化と有効活用を加速している。
セレントは、特に欧州における投資調査情報の生産、流通、消費の改革に注目している。バリューチェーン全体においてフィンテックは、データ、ツール、および配布方法の爆発的な増加を通じて、リサーチ部門とその活動の再構築を促している。資産運用会社は機械学習を活用して、従来型の市場データと代替的な市場関連データをより効率的に分析している。また、新しいタイプのリサーチ・アグリゲーターが、MiFID IIに準拠した規制環境下での新たなコンテンツを提供し、コンプライアンス対応を超えたクライアントエクスペリエンスの向上をもたらしている。
証券市場における、投資の意思決定は一層高度化している。 同時に、投資調査情報の生産、流通、消費に劇的な変化が見られる。 その結果、リサーチマネージメントシステム(RMS)とその市場は正に活況を呈している。 その主役は、新たなアナリティクステクノロジー・ベンダーと、構造化/ 非構造化データを統合的に提供するマーケットデータ・ベンダーである。