CRMおよびチャネル・デリバリー戦略: TCFバンクのケーススタディ
Abstract
今回のケーススタディは、インターネット・バンキング向けアプリケーションの選別にあたり顧客ナレッジを活用した銀行の例を取り上げています。
セレントの最新レポート「CRMおよびチャネル・デリバリー戦略」は、TCFフィナンシャル傘下のTCFバンクが行なったインターネット・バンキング向けアプリケーション選別の過程について検証しています。TCFは、インターネットに精通した顧客が増えている現状を踏まえ、これらの顧客に最高水準のサービスを提供することを目指しました。
レポートでは、TCFバンクがサービスの特性や機能に関する顧客の好みに基づいて、顧客データのセグメント化を進めて行った様子を明らかにしています。セグメント別データを分析した結果、同行はオンラインバンキングサービスを階層化することが、最適なサービスの提供につながると判断しました。そして、これを実現するために既存のオンラインバンキングシステムをアップグレードすることになったのです。このように、TCFバンクのケースでは、マーケティング戦略の遂行がオンラインバンキングシステムの刷新と強化を促す結果となったのです。
TCFバンクの例は、2つの重要な結論を提示しています。第一に、銀行がカスタマー・リレーションシップ・マネジメントのシステム導入とその稼動によって最大の成果を引き出すためには、デリバリー戦略の策定にあたりセグメント化や分析的アプローチをとる必要があるという点です。次に、こうした戦略の効果を最大化するためのフロントエンド・アプリケーションの導入が欠かせないということです。
セレントの銀行アナリストで上記レポートを執筆したアンジャリー・デービスは次のように述べています。「銀行がカスタマー・リレーションシップ・マネジメント・システムへの投資やプロセス革新を通じて最大の成果を得るためには、顧客と関わりを持つあらゆる局面で常に顧客ナレッジの活用を図ることが必要です。これに成功すれば、支店、オンラインバンキング、コールセンター、ATMなど全てのデリバリーチャネルにおいて個人サービスの積極展開やターゲット・マーケティングの導入が可能となるでしょう。」