リテールバンキングの事業領域別IT支出予測 (2023年~2028年)
2023/10/26
フロント/ ミドル/ バックオフィスIT支出の傾向分析
Key research questions
- 今後5年間のリテールバンクによるIT投資額は?
- 最も大きく成長する事業分野は?
- 銀行のバックオフィスへの投資状況は?
Abstract
新型コロナのパンデミックで幕を開けた2020年代だが、長期にわたる超低金利の後の金利上昇が、2022年から23年にかけてのリテールバンキング業界の推進力となっている。金利上昇を受けて多くの市場では純金利収入が改善しているが、一部の市場 (特に米国) では、銀行が新たな資産・負債状況に対応する中、混乱が生じている。
さらに、多くの市場ではインフレ圧力も重なったことで、銀行は顧客の獲得と維持が困難になり、顧客エクスペリエンスと商品・サービス提案の両方について改善を図る必要性に迫られている。その結果、コスト上昇圧力が続いているにもかかわらず、IT支出が増加している。
前年の反動でIT支出が増加した2021年に続き、2022年も世界のIT支出は4.3%増加した。この傾向は今後も続くと予想され、2023年のIT支出は2,613億ドルに達する見込みである。このように、現在もパンデミック直後の増加傾向は続いているが、米国のTier 2およびTier 3銀行のIT支出の伸びが減速している影響で、2023年のIT支出予測は年始予想からは引き下げられている。
本レポートでは、セレントの「テクノロジーのインサイトと戦略に関する調査」で得た主要なインサイトを活用して、2028年までのリテールバンクによるIT支出の見通しを示し、セレントのバンキングIT支出予測モデル2023-2028による主な調査結果を紹介する。対象としたのはサービス分野別のIT支出であり、アカウント管理、オペレーション、デジタル・チャネル、マーケティング、リスクといった分野を含むフロント/ ミドル/ バックオフィス等への支出の配分状況について調査した。本レポートでは世界と各地域の傾向を分析している。