TECHNOLOGY TRENDS PREVISORY 2022:リテールバンキング編
Abstract
過去1年半を振り返ると、近年の記憶において類例のない日々だったといえよう。新型コロナウイルスのパンデミックが発生したことで、金融サービスに携わる人に限らず、だれもが迅速な対応と優先課題の見直しを迫られた。各国のGDPが軒並み過去最大レベルの落ち込みを記録したにもかかわらず、世界の銀行システムはレジリエンスを示している。金融危機後に積み上げた資本が十分なレベルに達していたことの証であると同時に、前例のない規模の財政支出によってパンデミックが経済に及ぼす様々な影響は軽減または先送りされるかたちとなった。それでも、銀行の収入と資産基盤は当然ながら打撃を受けている。
リテール銀行には、かつてないビジネスチャンスが広がっている。パンデミックからの回復を支援し、米経済が直面する重要課題のいくつかを解決に導くことで、金融セクターは強い目的意識を持つことができ、利益を拡大できるほか、重要な存在であり続けることができる。だが、銀行がこうした変化を成し遂げるためには新たな発想と機能が必要であり、特にテクノロジー面ではそれが求められる。2021年は先が見えない状況が続くものの、2022年以降のリテールバンキングにおけるテクノロジーの優先事項は明確になりつつある。
本レポートは、2022年に向けた銀行業界の5つの重大テーマとリテールバンキング向けテクノロジーの15の優先事項についてのセレントの顧客へのガイダンスであり、セレントの新たなレポートシリーズである「Previsory(Pre-viewとad-visoryを組み合わせた造語)シリーズ」のひとつである。同シリーズでは、金融セクターの業種を超えて金融向けテクノロジーのトレンドを先進的な視点から捉え、対策をアドバイスする。
5つのテーマはリテールおよびコーポレートバンキングの両方に共通するもので、2022年のセレント・リサーチの指針となる。本レポートは、最近発行した既存レポートを参考にした部分もあるが、大部分は今回初めて発表する新たな内容で構成されている。