2007年 保険会社CIO/CTO調査: IT投資におけるプレッシャー、プライオリティ、プロジェクト、プラン
Abstract
セレントは保険会社IT部門の幹部を対象に、4回目となる年次調査を実施しました。その結果、市場ニーズに応えるための戦略投資の拡大意向と、損害保険市場のソフト化を巡る懸念が明らかになりました。
セレントは2006年秋に、米保険会社29社のIT幹部を対象に優先課題、投資行動、プロジェクト、インフラについて詳しく調査しました。調査対象となった29社の保険料収入は合計で500億米ドルとなり、米保険市場の約5%を占めています。
「今回の調査でも、商品化スピードや業務のしやすさを求める市場ニーズへの対応や、基幹システム、データ処理、そして販売などの新規プロジェクトに引き続き注目が集まっています」と語るのは、セレント保険プラクティスのマネジャーで本レポートを執筆したマシュー・ジョセフォウィッツです。「IT予算や人員数は概ね横ばいか小幅な伸びにとどまっていますが、戦略的投資は続いています。ただ、大手損害保険会社には、市場のソフト化による影響を見極めるまで投資を手控えている可能性を示唆する要素も見られます。」
主な調査結果は以下の通りです。
新規大型プロジェクト投資の主な対象分野は保険会社の規模やセクターによって異なるものの、引受け、保険金請求、商品開発、そしてデータ管理などのプロジェクトが中心となっています。ほかにも、最も一般的な投資対象分野として文書管理、保険契約管理システムのリプレース、ACORD XMLの採用、代理店向けポータル、BPMなどが新規プロジェクト候補として挙げられています。レポートでは、保険会社を規模及びセクター別に4つのグループに分け、それぞれが「積極的」及び「ある程度」投資する新規プロジェクトの上位分野を示しています。
Webサービス/SOAは 確実に広まっています。エンタープライズサービスバス(ESB)やUDDIといったインフラの採用はまだ本格的に普及していないかもしれませんが、平均的な保険会社は社内で約15のサービスを提供しており、調査対象社の約半数は社内外のシステム間接続にWebサービス/SOAを使い、新規顧客の獲得や引受けを行っています。また、これらのプロジェクトの半数以上で引き続きACORD XMLが採用されています。
メインフレームからの移行は引き続き拡大しており、プラットフォームの近代化を進める上でWindowsと並んでLinuxが重要な要素となってきています。大手保険会社の大多数は基幹システムの少なくとも一部をメインフレームに依存していますが、メインフレームの役割は徐々に縮小しています。
56ページから成るレポートは、IT予算の詳細な内訳や人員計画・比率を紹介するほか、オンラインによる直販から基幹システム、ビジネスプロセスマネジメント/文書管理システムの実装を含む70以上の個別テクノロジープロジェクトを巡る保険会社の取り組みを分析するなど、幅広い分野をカバーしています。また、調査結果を分析した41の図表も掲載しています。