北米金融機関におけるビッグデータの利用状況: ビッグデータはどれくらいビッグか?【全訳版】
Big Data Usage and Attitudes Among North American Financial Services Firms
Abstract
(このレポートは2013年4月3日に”How Big Is Big Data?: Big Data Usage and Attitudes Among North American Financial Services Firms" というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2013年11月25日に発行しました。)
ビッグデータはいまだ生まれたてのコンセプトであり、言葉ばかりが先行して、実際の利用はなかなか広がっていないのが現状です。しかし、ビッグデータをすでに利用している金融機関にとっては、大きなポテンシャルを持つ重要分野となっています。
セレントの最新レポート「北米金融機関におけるビッグデータの利用状況」は2013年1月に行った調査をもとに、ビッグデータの利用状況と北米の大手金融機関の動向を明らかにしています。
金融機関はビッグデータをめぐって様々な動きを見せていますが、大手金融機関のごく一部を除くと、実際の業務でこれらを活用するには至っていません。回答を寄せた金融機関の多くは、自社のビッグデータに対する理解とその利用はいまだ不十分であると認めています。北米の金融機関の大部分は、いまだこのテーマへの理解を深めている段階にあります。「リトル」データなら、十分に活用できてないと気が付けば、フル活用できるように対処できますが、ビッグデータに関しては素早い対応がとれていない状況です。
一方で、ビッグデータの成熟度に合わせてそれらを比較的うまく利用している金融機関もあります。が、少数にとどまっています。商品別の縦割り構造から顧客中心主義への移行は長い道のりであり、多くの金融機関はいまだ一歩を踏み出せずにいます。ただし、こうした取り組みを積極的に進める意欲のある金融機関にとって、ビッグデータブームは競争上の優位になりつつあります。
「多くのビッグデータプロジェクトは、各業務ラインが個別に、しばしば協力体制もとらずに、特定のビジネス効果を目指して、非データ主導の旧態依然としたカルチャーの中で、縦割りのデータウェアハウスを使ってプロジェクトを主導しています。こうしたアプローチは、量・速度・多様性を増すデータを管理するための技術的能力を開発する上では有効でしょう。しかし、今まさに求められているビジネス成果の大胆な変革につながるものではありません」と、セレント銀行グループのシニアアナリストでレポートの共同執筆者であるボブ・メーラは述べています。
「今回調査対象となった保険会社の多くは、ビッグデータの『ビッグ』さに共感を示していません。データの量は自分たちの課題ではない、というのがその理由です。しかし、ビッグデータに対応可能なテクノロジーを備えることは、データの多様性や速度といった側面に関する課題の解決にもつながるはずです」と、保険グループのシニアアナリストでレポートを共同執筆したクレイグ・ビーティーは述べています。
レポートでは、ビッグデータとデータ分析について北米の金融機関がどの程度理解し、評価しているか、どの分野でビッグデータの利用を望んでいるか、ビッグデータへの投資がどのような形で表れるかという点に焦点を当てています。金融機関によるビッグデータの利用実績、採用しているテクノロジー、達成済みの成果、さらに、ビッグデータが金融機関の組織、カルチャー、意思決定にどのような影響を及ぼしているかを考察し、最後に成功を阻む(見かけ上および実質的な)障壁について論じています。
本レポートは28p、28図と2表で構成されています。