モデルアワードプログラムを振り返る:基調講演 ― 新たな常識に向かって加速するエマージェント・エンタープライズ
セレント イノベーション&インサイト(I&I)デイ 2023|日本語ウェビナーシリーズ(予告)
セレントのフラッグシップイベントとモデルアワードプログラムを日本語で振り返ります。
2023年、セレントが主催するイベント「イノベーション&インサイト」は17年目を迎えました。このイベントは、金融サービス業界における優れた技術革新を表彰するもので、銀行、保険会社、証券会社、ウェルスマネジメント、リスクプロフェッショナル、市場インフラなどの各分野で、クラス最高の取り組みを表彰しています。
今年もイノベーション&インサイト・デイ2023を成功に導いて下さった皆様、応募企業様、受賞企業様、そしてオンラインでご参加者の皆様に感謝します。
2023年のプログラムを振り返る
ライブセッションに参加できなかった方や、プレゼンテーションの内容をもう一度ご覧になりたい方は、簡単な登録からオンデマンドで、以下のコンテンツをご覧頂けます:
- 基調講演(プレナリーセッション)のリプレイ:セレントの新(バーチャル)アナリストによるイントロダクション、チーフリサーチオフィサーによる2023年のイベント概要と基調テーマ「エマージェント・エンタープライズ」、セレントのコーポレートバンキング部門トップとオリバーワイマンのパートナーによる、「進化する金融テクノロジーのエコシステム、そこでのデータ活用の意義、そしてビジネスに革新をもたらす方法」についての対話
- モデルバンク、モデルバイサイド、モデルセルサイド、モデルインシュアラー、モデルリスクマネジャー、モデルウェルスマネジャーの各賞の受賞者発表を含む、モデルアワードプログラムの概要
- 受賞者が語るケーススタディービデオ(簡単な登録からご覧頂けます)
- モデルアワード受賞プロジェクトの詳細レポート(セレントクライアントに限定)
新しい常識に向かって加速するエマージェント・エンタープライズ
フィンテックに限らず、破壊的イノベーションに関するプレゼンテーションの冒頭では、しばしば「陽はまた昇る」(ヘミングウェイ)の名言が引用されます。
「どのように破綻したの?」「2つあって。初めは徐々に、それから突然に。」
この言葉は、幸いにも予言ではなく、小説の中のある架空の人物の経験を反映したもの。少なくとも今のところ、金融サービス業界はまだ破綻ではなく成長しており、セキュリティという人間の基本的な欲求を、よりデジタルな方法で「徐々」に満たしつつあるようです。
「突然」の出来事こそないものの、金融業界は常に進化しており、今日の金融サービスのエコシステムは30年前のそれとはまったく異なっているでしょう。フィンテックが始まって以来、人口動態、購買行動、規制、テクノロジーの変化により、金融機関はその伝統的なビジネスの境界線を越えつつあります。特にエンベデッド・ファイナンスのような事業形態では、金融機関はもはや単独で存在するものではなく、様々な業界を跨ぐ幅広いエコシステムの一部として共存しています。
顧客、サービスプロバイダー、さらには競合他社など、社外とのコネクティビティは、競争優位の重要な源泉。その中心は技術力であり、API、クラウド、あらゆる「データ」、マイクロサービス、人工知能・機械学習(AI/ML)などの最新テクノロジーを一流の機関が競い合っています。
セレントはこうした動向を「エマージェント・エンタープライズ(創発的企業:新たな企業体)の構築」と呼び、今年のプレナリーセッションでこのコンセプトをさらに掘り下げました。そして、2023年の受賞プロジェクトからは、こうしたコンセプトをうまく引き出した革新的なアプローチを紹介しました。
- 法務部門をデジタルトランスフォーメーションによって新たな価値創造の源泉とするため、法務関連業務のデジタル化に着手した銀行の事例。時間のかかる手作業を減らし、人間の法務スタッフは付加価値の高い業務に集中できるように変革。
- 全ての顧客に対してトップクラスのファイナンシャルアドバイスへのアクセスを民主化したウェルスマネジメント会社の事例。クラウドネイティブのアルゴリズムベースのマッチングシステムを通じて、見込み客とファイナンシャルアドバイザーを結びつけるアプローチを現代化。
- AIベースのアンチマネーロンダリング(AML)検知プラットフォームの導入により全社的なリスク管理を革新したグローバルバンクの事例。複雑な取引でも一貫した結果が得られ、従来のサイロ化したアプローチで必要だったプロセスよりも少ない人員で対応。
LLMの次に起きることは?
ある出来事をきっかけに、技術の成熟度に対する前提を見直すべきタイミングがあります。新しい技術概念ではありませんが、大規模言語モデル(LLM: large language models)は、OpenAIのChatGPT、GoogleのBard、MetaのLLaMAなどの最新リリースを受けて、ここ数ヶ月でそのタイミングを迎えています。セレントがこのウェビナーで披露したSynthesiaのアバターとOpenAIのChatGPTの両方を使った動画生成などをご覧になれば、他のAI技術との組み合わせによって、これらの技術は業界全体で顧客体験やアドバイスの提供方法を根本から覆す可能性を持ち、金融ビジネスにおけるオペレーションモデルの新しい可能性を切り開くことは想像に難くありません。
こうしたテクノロジーがどこでどのように発展するかはまだわかりませんが、セレントは金融業界におけるLLMの潜在的有用性について凝視し、一連のブログやレポートを通じて発信しています。今後数カ月間、さらに多くの情報をお届けする予定です。
LLMはまだ始まったばかりですが、大きな意味を持つでしょう。この新しいツールを採用する金融機関もあれば、すでにガードレールを設置している金融機関もあります。各企業はこの分野を監視し、それがもたらす可能性のある機会とリスクの両方をしっかりと把握する必要があります。
LLMを活用することで、熟練した人間は付加価値の高い仕事に集中でき、膨大な量の異質なデータを分析することで新たなインサイトを得、より確かな情報を産み出すことが可能となるでしょう。一方でそのリスクとしては、仕事を失う人々が出る可能性があること、テクノロジーによって無意味なものが発見され排除される可能性もあること、不正が容易になるため、効果的な検知の取り組みが必要であること、などが考えられます。
セレント2023年モデルアワード受賞プロジェクトの発表
最新テクノロジーを最大限に活用して金融機関のあらゆる業務を最適化するとどうなるか?
セレントが毎年開催しているモデルアワードは、この問いに答えるべく、金融サービス業界における優れたテクノロジーを表彰するものです。2023年の受賞プロジェクトは、テクノロジーがいかにイノベーションをもたらすか、その実例を示しています。2023年のセレントモデルアワードは、世界約50カ国、170の金融機関から寄せられた約260件の応募の中から、48件の受賞プロジェクトが選ばれました。
各カテゴリーの受賞プロジェクトを受賞者ビデオやケーススタディレポートでご覧下さい。
- セレント・モデルキャピタルマーケッツ・アワード2023 受賞企業発表
- セレント・モデルウェルスマネジャー・アワード2023 受賞企業発表
- セレント・モデルリスクネジャー・アワード2023 受賞企業発表
- セレント・モデルバンク・アワード2023 受賞企業発表
- セレント・モデルインシュアラー・アワード2023 受賞企業発表
次は、貴社の出番です。
セレント・モデルアワード・プログラム2024への応募受付は、2023年6月28日に開始し、2022年10月13日に締め切ります。
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(以下、好評公開中)
モデルアワードプログラム|日本語ウェビナーシリーズ
モデルアワード2023 プログラムの概要 | グローバル動向と受賞企業の取り組み
モデルアワード2023 受賞プロジェクトのケーススタディ
- モデルバイサイド | Nissay Asset Management
- モデルセルサイド | Societe Generale
- モデルウェルスマネジャー | Bank of America Merrill Lynch
- モデルリスクマネジャー | HSBC
- モデルバンク | ICICI Bank
- モデルインシュアラー | Max Life Insurance