次世代のリスク選好管理:不透明な時代にこそ
Abstract
セレントは、金融機関のリスク選好導入プロジェクトを成功に導くための戦略的指針と戦術的手段を提示します。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 金融機関のリスク選好導入プロジェクトの進捗状況は?課題は? |
2 |
リスク選好の枠組みのベストプラクティスを目指す上で妥協すべき点は何か? |
3 | 次世代のリスク選好の枠組みとは? |
規制当局や投資家からの圧力に促され、金融機関の多くは「リスク選好報告書(RAS)」の作成に向けた正式な「第1世代」の準備を完了させています。一部には、より高度な次世代機能を導入して自社のリスク許容度とリスクテーク能力を管理する動きも見られます。ただ、前向きな進歩は見られるものの、なおやるべきことは山積しています。
本レポートで指摘しているように、金融機関によって取り組みの進捗度は様々です。中でも最も大きな差が見られるのは、リスク選好が組織内でどの程度業務として確立し、定着しているかという点と、リスク選好が重要な意思決定プロセスにどの程度影響を及ぼすかという点です。
金融機関が抱える課題は、リスク選好プロジェクト(変化するリスクカルチャーの管理、組織内の賛同、業績と報酬の調整、タイムリーかつ正確なプロセスの統合、報告用アプリケーション、組織内の全部門共通のデータエコシステムなど)の有効性を左右するソフトおよびハード面の要因が複雑に絡み合っていることを示しています。
金融危機後の数年間は企業のスキャンダルや行動が及ぼす影響が顕著化し(今も継続中)、「言」と「動」の乖離は受け入れ難くなりつつあります。企業行動を問題視された金融機関は多額の罰金を課せられたり、時価総額の大幅減に見舞われたりすることが多くなっています。
「実例が示すように、金融機関にとって、一貫性のある言動は長期的にバリュエーションや信用を後押しする強みになります。それによって、規制当局からの罰金や改善努力要求が長引くような事態は避けられるでしょう。リスク選好の良好な管理には、明確なメリットがあると言えるでしょう」とセレント証券プラクティスのリサーチディレクターでレポートを執筆したキュビラス・ディンは述べています。
本レポートは6図と1表で構成されています。