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FX市場のグローバルトレンド:マルチディーラー・プラットフォーム

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2009/11/30

Abstract


FX市場は世界で最大規模かつ最も流動性の高い金融市場です。その1日平均取引高は、2009年前半には2.9兆米ドル(約262億円)へと大幅に減少したものの、2010年には4.0兆米ドル(約361億円)を超えるとセレントでは予想しています。

もともとは通貨ヘッジの役割を果たしていたFX市場ですが、近年はユニークな資産クラスとして脚光を浴びるようになりました。セレントの最新レポート「FX市場のグローバルトレンド:マルチディーラー・プラットフォーム」では、世界のFX市場のトレンドを概観し、さまざまなインターディーラーブローカー(IDB)やディーラー・ツー・クライアント(D2C)プラットフォームについて分析しました。FX市場の発展により、バイサイドの投資家が持つ役割が増大し、より高度なトレーディング・テクノロジーの採用や複雑なトレーディング戦略の導入が促進されています。

FX市場は銀行間取引(インターディーラー)市場と対顧客市場(ディーラー・ツー・クライアント)の2つの主要セグメントから成っています。銀行間取引市場は、FX市場全体の35%と規模がやや小さめなのに対して、対顧客市場は大規模で参加者も多様です。インターディーラー市場では電子化が進んでおり、FX取引の70%が電子取引プラットフォームを通じて取引執行されています。一方、対顧客市場では電子取引とボイスブローキングが半々です。ただし現在は、対顧客取引分野のマルチディーラー・プラットフォームが、従来のインターディーラープラットフォームと張り合おうとする動きが活発になってきました。

出典:セレント

「FX取引で圧倒的な量を担っているのは金融機関です。FX取引のうちレポーティング・ディーラーが占める割合はこの10年減り続けており、今では金融機関が主要部分を占めるようになり、FX取引のカウンターパーティーの約60%は金融機関となっています」とセレントのアナリストで本レポートの共同執筆者であるスリークリシュナ・サンカーは述べています。

特に2006〜2007年にかけてFX取引高を押し上げたのはヘッジファンドでした。2008年後半と2009年前半には、ヘッジファンドのFX取引活動が減少したことが主因となって、匿名によるFX取引に大きな影響が出ました。とはいえ、大手ヘッジファンド、世界の大規模プレイヤーは、変わらぬリターンで運用を続けています。今後、ヘッジファンドの活動は、2010年には2009年より積極的になり、2008年前半と同じレベルになるでしょう。

「プライムブローカレッジ・サービスを通じて、一部の大手バイサイド企業にインターディーラー取引プラットフォームでの取引を許可したことは、パンドラの箱を開けたようなものであり、これにより銀行間取引市場と対顧客市場の区分があいまいになりました。原則以外のプレイヤーを導き入れたことにより、両市場はそれぞれの中枢の役割を失い、排他性も失ったわけです」とセレントのシニアバイスプレジデントであり本レポートの共同執筆者であるアクセル・ピエロンは付け加えています。

このレポートは22図と7表を含む54ページで構成されています。