コールセンターの未来像:トレンドと課題
Abstract
(このレポートは2005年5月20日に"Shaping Tomorrow's Contact Center: Trends & Challenges"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2005年11月25日に発行しました。)
今日、コールセンターに求められる役割は増大しています。コールセンターは最高レベルのサービスの提供を要求される一方、増え続けるチャネルやアプリケーションへの対応も迫られています。コールセンターエージェントは、サービスに関する問い合わせに対処するだけでなく、業界トレンドに合致する追加商品のクロスセリングを展開し、チャネル間の垣根を越えたあらゆる商品の販売を推進することを求められています。
「テクノロジーは業務の非効率な部分を大幅に改善し、飛躍的なスピードでビジネスを変化させつつあります。とはいえ、コールセンターにおける根本的な問題は解決されていないのです」と、今回のレポートを執筆したアリアナ・ミシェル・ムーアは述べています。
多くのコールセンターにとって、人員と経費が引き続き最大の問題となっています。元来コールセンターはコストセンターとして位置づけられてきたため、革新的なテクノロジーや戦略に投資を向けさせる力に欠けています。また、有人コールセンターの運用はカスタマーサービスを提供するチャネルとしては、最もコストが割高であると言えます。かと言って新たな販売アプローチを導入しようとすると、様々な仮説やシナリオに対応する事例を設定することが困難です。セルフサービスチャネルの導入によって状況は大幅に改善されましたが、コストは減少しません。「銀行は、セルフサービスチャネルを導入することが顧客の銀行に対する信頼の低下につながることを懸念しています。銀行目指すところは、すべてとは言わないまでも、顧客の金融サービスに対するニーズのほとんどに応えることのできる信頼のおけるアドバイザーですが、この努力に水を差す可能性があるからです。また、顧客に自分達が番号化されているという悪い印象を与えかねないばかりでなく、顧客側からも銀行の特色や差別化要因が見えにくくなる恐れがあります」とムーアは指摘します。
これらの課題を克服するため、様々な戦術やテクノロジーが市場に投入されており、中にはテスト段階から多くの銀行の関心が最高潮に達しているケースも見られます。これらのソリューションは、単なるプロセスやホールド・キューの変更から全社規模のアプリケーション導入に至るまで多岐にわたっています。「ただし、ソリューションの機能の割にはコストが高い場合もあるようです」とムーアは警告しています。
レポートは、現在のコールセンターの運営環境とコールセンターのマネージャーが抱える最優先課題を浮き彫りにしています。また、現在入手可能なソリューションや銀行における実際の導入事例を幾つか紹介しています。レポートの第一部ではコールセンターの重要性について概説し、第二部「コールセンターの優先課題」ではコールセンタースタッフの心理的負担となっている問題やソリューションの開発・導入にあたってマネージャーが克服すべき制約について詳しく考察しています。さらに第三部と第四部では、市場でテスト中またはすでに稼動しているソリューションを徹底検証し、それらの真の価値を明らかにしています。
このレポートは、全44ページから構成されています。