構造的変化と市場混乱の時代において、テクノロジー戦略がバイサイドに与える影響について考察する
Abstract
大きな変化を受けて投資業界の経済状況は変わり続けている。ポートフォリオ管理のためにアクティブ・アプローチを採っているバイサイド企業は、相次ぐ規制当局の介入、手数料圧縮の傾向、および広範な資金需要によって、差し迫ったビジネス上の課題に直面している。市場が混乱し、地政学的に不安定な状況にある中、これらの変化の影響は更に増幅しており、2023年は脆弱なマクロ経済状況により突然規制が強化されるという事態が生じる可能性もある。同時に、テクノロジー、データの可用性、デジタル化に関する長期的な構造的要因により、企業はビジネスモデルと業務上の観点から、より戦略的な対応を求められている。
特に今、市場が混乱する中、投資会社はリスクとパフォーマンスの要因に関する最新かつ詳細なインサイトを得て、より迅速に対応し、将来を見据えた活動を策定しようとしている。これは単に、さらなる定量的な指標や通常のレポートを指しているのではない。大手投資会社の間では、組織の内外からさまざまなデータエコシステムを再構成、調整、接続することで、ポートフォリオ設計能力を強化し、市場動向や投資家心理を予測するシグナルを生成し、さらには市場の変化をダイナミックに予測するという野心的な意欲が高まっている。
デジタル化、テクノロジー、データは万能薬とはいえないが、急速に変化する環境を乗り切るうえで触媒や促進剤として重要な役割を果たす。これらを導入すると、投資マネジャーは変化に対応する中、アルファを見出すうえで優位性が高まり、レジリエンスが向上するという見返りを得ることができる。
本レポートでは、特にバイサイドの視点に立ち、2023年に新たに生じるテーマと、既存のテーマが加速すると予想される分野の両方に関連するビジネスとテクノロジーの動向に焦点を当てている。今年は、2023年の業界全体における5つのビジネスモデルの変革と、キャピタルマーケッツと投資セクター全体のテクノロジー支出と戦略を促進するマクロ経済要因を特定することからスタートする。これらのテーマは、過去1年間のセレントの調査と業界エグゼクティブとの議論に基づき、キャピタルマーケッツチームが特定したものである。また、各テーマに関連する主要なテクノロジーについても取り上げる。
テクノロジートレンド・プレバイザリー2023:キャピタルマーケッツ・バイサイド編は、セルサイド編とポストトレード金融市場インフラ編と同じシリーズのレポートである。